7.勇者は罰を与える
俺が国に戻らないという宣言に、団長と王女様は困惑し、引き留める。ただ逃げるのではなく俺が死んだことにしての逃亡だ。当然ながら、俺の存在は国から消え去る。
なのでまぁ、二人が俺を止める意味も理解している。彼等は俺が居なくなることで起きる結果を心配しているのだろう。そんな事は百も承知で言っているのだ。
「えぇ、わかっていますよ。俺はもう家族や親しい人たちには会えません。それは少し寂しい事ですね……」
「だったら何故……」
俺は一拍置いてから、騎士団長に微笑んで口を開く。
「貴方達二人は、俺が国に戻った方がいいんですか?二人の関係が終わるかもしれないのに」
「……烏滸がましいが、どの口が言うんだという話だが……僕は君に戻ってきてほしいよ。自分のしでかしたことの責任を取るためにも」
「……私も、勇者様には戻ってきていただきたいです。そのうえで改めて謝罪をさせていただきたいです」
この言葉は……嘘じゃない。やっぱりこの人たちは根が善人なんだな。だから……。
「だからこそ、それが俺が貴方達に与える罰になるからですよ。きっとね」
「……僕らへの罰……?」
「……どういうことですか……?」
二人は俺の言っている意味がわからずに、困惑した表情を浮かべながら少しだけ首を傾げた。彼らにしてみれば、まるで俺に対しての罰の様に思えているのだろう。何せ俺が死んだことになるのだから、そう思うのも無理はない。
地位も名誉も何もかもをかなぐり捨てて、勇者ではないただの一個人に戻る。約束された栄誉を捨てるような行為は、生来から上流にいる二人には理解できないのだろう。
でも、俺はもともと平民で一介の兵士だったんだ。今の状況が分不相応で、それが一個人として元に戻るだけだから、かえって気が楽になるくらいだ。もしかしたら変に栄誉を貰うよりも気が楽かもしれない。むしろ水晶玉向こうの二人の方が焦っているように見えるのが何故か笑えて来る。
……絵画やら彫像やらで後世に残るのも嫌なので、その辺のことも実施されない様に阻止してもらおう。場合によっては団長の姿を代わりにしてもらうってのも良いかもしれない。
「そうですね、まず……俺が魔王と相打ちになったら、仲間や家族は悲しんでくれるでしょうね。実際に俺はそのままいなくなるので、葬儀が行われるとしたら遺体の無い葬儀になるのかな……。聖剣も俺が持ってってしまいますし、国は聖剣を失うことになりますね。聖剣を失ったというのは下手したら国同士の責任問題にもなるかもしれません。あ、水晶玉も相当な貴重品ですよね。これの損失もかなりの額に上るでしょうね。とにかく魔王を倒しても俺が戻らないというのは、現時点で思いつくものでもかなりあります」
しかしまぁ、自分が死んだときのことを説明するのもなんだか馬鹿馬鹿しいというか、気恥ずかしいというか……俺は何とも言えない気分になる。……これで誰も悲しんでくれなかったら嫌だなぁ。魔王が倒されたので、とりあえず俺が死んだことは置いといてお祭り騒ぎになってしまったら今の説明が恥ずかしいものになってしまう……。まぁ、俺がいなくなった後のことを考えても仕方ないか。
俺の説明した内容にも二人はまだ理解ができていないのか、困惑した表情を浮かべている。頭に疑問符が浮かんでいるようだった。それなら何で戻らないのかと。 やっぱり上流階級に居て、名誉と言うものが日常的に傍らにある人には、それを投げ出すというのは理解しづらいのだろうか?
とりあえず、俺は理解できてない二人に、罰の内容を告げる。
「わかりませんか? 俺がいなくなった後で起こる仲間や家族の悲しみ、国に起こる不利益、事象は全て貴方達二人が原因で起こったことになるということですよ。貴方達がバカなことをしなければ起きなかったことを、貴方達は自覚しなければなりません」
ここまで言ってやっと気がついたのか、二人がはっとした表情を見せる。
「貴方達二人には当然、俺が生きていることは絶対に黙っていてもらいます。俺が生きていると暗に匂わせることも許しません。絶対に秘密は守っていただきます。まぁ、下手に喋ったら貴方達のことも公になりますからね、黙っているしかないと思いますが……。下手したら貴方達二人が処刑されかねません。俺の家族や仲間が悲しんでいる姿や、また魔王のような存在が現れたり、国を守るのに聖剣が必要となった時……。もしかしたら旅の途中で知り合った人たちが俺に会いに来るかもしれませんね、でも俺は死んでしまったということになっているので当然会えません。その全てが、自分達が起こした行動が原因だと言うのを、貴方達には見続けていただきます」
二人は悲痛な表情を浮かべながらも、俺の言葉に反論は一切してこない。
自分のせいで悲しんでいる人たちがいて、その悲しみを無くす方法を知っているのに、自分の都合で言えないというのは結構精神に来るものがある。しかも、下手に喋ったら自分達のみが危うくなる。俺を犠牲にしてまで手に入れた関係が壊れる……もしくはどちらかが死ぬかもしれないという状況では下手なことは言うことはできない。
ただしこれは……あくまでも二人の根が善人だからこそ意味のある罰だ。もしも二人が悪人だったら……先ほどの言葉が嘘で、俺がいなくなった方がいいと隠れて笑いながら悪巧みをするような人達だったら、こんな罰には何の意味もない。俺も二人がそういう人たちなら、もっと別の罰を考えていただろう。
例えば、魔王と手を組んで国に攻めいるとかね。まぁ、流石にそれはありえないか。
二人の表情を見る限りではこの罰はかなり有効だろう……。既に自分達の行いを後悔しているのかもしれない。もしかしたら、二人の関係はこの罰でギクシャクとしたものになってしまうかもしれない。最悪の場合、破局もするかもしれない。それはそれで、俺の望むところではないのだが。俺が居なくなることに意味が無くなってしまう。
「まぁ、お二人がその結果で破局しようが関係がどうなろうが俺には関係ありません。もうそこには興味がありませんから。だけど、別れて楽になろうとすることは、俺が国に戻らない事の意味が無くなってしまいますからね。俺としては罰の意味がなくなるので止めて欲しいところです」
「……え?」
二人の声が重なり、間の抜けた表情を俺に見せる。この二人には、できる限り長く罰で苦しんでもらわないといけない。罰を真摯に受け止めて今後も国のために尽力するのか、破局してそれぞれの人生を生きるのか、それとも全てを投げ出して二人で国から逃げ出すのか……。
どう転んでも別に俺にはどうでもいい。それに、遠く離れた地にいる二人にはこの程度の罰がどちらにせよ限界なのだ。
「……本当にすまない」
「……ごめんなさい、勇者様」
「何度目ですか謝るの。それに勘違いしないでください、これは罰ですから。二人が別れて楽になるとかは許さないと言っているだけですからね」
二人の顔は後悔と苦渋に満ちた者となり、涙をとめどなく流している。せっかくの端正な顔立ちが台無しになるくらいに顔を歪めてしまっている。
「そうだな……そうだな。その罰を受け入れて良いのなら……俺達は受け入れさせていただくよ。本当に……僕達は愚かな事をしてしまった。一生をかけて償うよ」
涙を流したままの笑顔を、団長は俺に向けてくる。団長の言葉に嘘は無かった。
……二人はこれからが大変だろう。俺がいなくなったことでそもそも国がどうなるのか……。今後どうなるか、それを俺は見られないが……まぁ、逆に見られなくて良かったと思っておこう。
「そろそろ通信を切ります。もう明日からは通信をしません。次に通信を入れるのは魔王を倒した後……俺が消える直前です。それを最後にします」
「あぁ、わかった……。勇者、最後に一つだけ聞いても良いか?」
「……なんでしょうか?」
今さら何を聞くことがあるのだろうか。まぁ、俺から喋るだけ喋っていたので、最後に一つだけと言うのであればいいだろうと、俺は団長からの質問を了承する。答えを返せるような質問であればいいのだけれど……。そんな俺の心配をよそに、 団長は静かな声で俺に聞いてきた。
「魔王を倒すのを辞めようとは思わなかったのか」
団長からの質問は、幸いなことに俺が答えを返せるものだった。なんだそんな事かと、拍子抜けしたくらいだ。魔王を倒すのを辞めようなんて……俺が真っ先に考えたことの一つだ。思わなかったわけないじゃないか。
「思いましたよ。当然ね」
「じゃあ何故……」
「団長も今回の魔王の話は聞いているでしょう?最低最悪の魔王だって……。なんせ同じ魔族からでさえ相当に嫌われているようですしね。あれだけの魔王は過去に類を見ない」
「……まぁ……な……」
報告された魔王の所業を思い出したのか、団長が青い顔を浮かべている。今回の魔王は過去に類を見ないほどに最低最悪な男だ……。俺も聞いていて胸糞悪くなったことを思い出す。
そもそも、魔王達とはもともとは敵対しているわけでは無かった。魔王達と敵対するようになったのは今の魔王に代替わりしてから……正確には今の魔王が、前の魔王を殺して成り代わった時から他の種族と敵対するようになった。それは敵対と言っていいのかも疑問だが……。
……今回の魔王は、一言で言うと魔王と言う肩書が無ければただの性犯罪者だ。
滅ぼした村や町の女性をその家族や恋人の目の前で壊れるまで犯す、幸せな夫婦を引き裂いて妻の方を自分の妾とする、母親と娘をお互いに人質にして好き放題に弄ぶ……等々、女性に対しての好色や悪意を煮詰めてドロドロにしたような最悪な男。
そのため、俺が魔王を倒す旅をしているという話を亡命した魔族達や、魔王の支配する土地に住んでいる人達に対してすると、喜ぶ魔族の方が圧倒的に多かった。そのおかげで旅もある程度はスムーズにすることができたのだから。
俺達に敵対する魔族は、やむを得ない事情で魔王の味方をせざるを得ないやつか、魔王のおこぼれを預かろうとするような下衆なやつがほとんどだ。
日に日に大きくなっていく魔王の支配国に住む人々から助けを求める声が、今回の討伐を計画させたのだ。この機会を逃して、もしもそんな魔王を放置したらどうなるか……。それは火を見るよりも明らかだった。
「仲間にね、将来を誓い合ってる二人がいるんですよ。先日やっと手を繋げるくらいになったのかな? それに道中で助けた人達も……、俺なんかを好きだと言ってくれた女性たちもいました。俺が魔王を倒すのを辞めたら、いつか必ずその人たちが被害に遭います。俺が魔王を倒すのを辞めなかったのはその人たちのためです。決して国や貴方達のためじゃないですよ」
「……そうか。ありがとう」
団長が寂しそうに微笑みながら俺に礼を言ってくる。
考えが変わる時と言うのは、本当にあっという間だと実感する。少し前は、この人たちのために魔王を倒そうとしていたのだから、人生何があるかはわからない。
もしも、この二人だけが魔王の被害に遭うとなった場合には俺はどうしていたのだろうかと怖くなる。それならそれで、ざまあみろと放置していただろうか?それとも、それでも魔王を倒そうとしただろうか?
……考えても仕方がないか。
「それじゃあ、さようなら。二人とも」
俺は二人に別れの言葉を告げ、相手の返事を待たずに水晶へと魔力を流して通信を切った。最後に見た二人の表情が、自分達のした行動への後悔に染まっていたように見えたのは、俺の気のせいではないと思いたい。
通信の切れた水晶は向こうの映像を映さなくなり、その表面には俺の間の抜けた顔が映しこまれている。……本当に、我ながら酷い顔だ。たぶん、勇者だと言われても信じられない顔だな……。目が死んでいる。
「あー……終わったー……」
ため息を一つつき、その場に全身を投げ出して寝転んだ。身体には異常な疲労感と、まるで何か大事なものを失った時のような喪失感が支配していた。心に穴の開いたような状態と言うのはこういうのを言うのだろうか?助けを求める人を結果的に助けられなかった時や、強い敵と相対して負けた時でも、ここまでの疲労感と喪失感は無かった気がする。なんとも言えずに虚しい気分だ。
何もやる気が起きずに、かと言ってそのまま寝る気にもなれないし眠れそうにない状態で、俺はその場で何回か転がる。振動が部屋を少し揺らすが、防音魔法もかけているし音が漏れることは無いだろう。
「あれだけ格好つけたこと言って、これで魔王倒せなかったら格好悪いよなぁ。勝つことを前提に話してしまったし……見方によってはいきがってるみたいで格好悪いな俺。……まぁ、なんだか間抜けだけど、負けられない理由が一つ増えたと考えればいいか」
非常に後ろ向きな負けられない理由が増えたと、独り言を言いつつ更に憂鬱な気分になる。なんだかじっとしていられなくなってしまい、寝転んだまま手足をじたばたと動かすと、部屋の振動音が更に大きくなった。
その振動でなのか、置いた場所から水晶が俺の目の前にまで転がってきた。特に音もなく目の前に現れた水晶に映った俺の表情は……やっぱり最悪だった。
……そもそも何で、こいつ壊れたんだろうな?こいつが壊れてくれたおかげで俺は知りたくも無い事を知ることができたんだが……。国宝ともいえるべきものがこんな簡単に壊れるのか?
……なんだか手元の聖剣が一瞬だけ光った気がした。もしかして、こいつが壊したのだろうか?……俺に教えるために。……考えすぎか。
「あー……もう通信しないし水晶はどこかにしまうか……。はぁ……」
ため息を一つつき、うんざりした気持ちのままで、俺は水晶を手に持って立ち上がった。どこにしまうか……今までだと普段使いの荷物入れに入れていたけど……正直なところもう同じところに入れておきたくない気持ちが強い。この水晶を見るだけでも辛い記憶が蘇ってしまいそうだ……。
仕方がないので、俺はもう一つの荷物入れにこの水晶をしまうことにした。国に帰った時のためのお土産や、旅先で手に入れた珍しい物をしまってある方のお土産用の袋だ。そちらは普段使いの物よりも大きめのものなので、この水晶玉程度であれば余裕で入る。
「あっちも今は開けたくないけど……仕方ないか……」
億劫な気持ちを押し殺しながら、のそのそと重い足取りで俺は鞄の元へと移動する。鞄には鍵がかかっているので、それを開錠するのも今は億劫だった。何とか気持ちを揺り起こして鍵を開け、中身を見ると良くもここまで集めたものだと色々な物が入っていた。その中の二つの小さなそろいの箱が俺の目についた。
「これは……」
手に取ってその箱を空けると、中には綺麗な装飾が施された指輪が収まっていた。片方は赤色で、もう片方が青色のその指輪は、揃いデザインのペアリングになっている。こんなものもあったなと懐かしい気分になる。旅の途中で、とある竜のご夫婦を助けた際に貰ったもので、王女様との婚約指輪にちょうどいいだろうと言われたものだった。
確か……身に着けると竜の加護が貰えるんだっけ。……身に着けてからどちらかがどちらかを裏切る行動……浮気とかすると、許されるまで呪いが身体を蝕むんだっけか。お前たちならきっと大丈夫だろうとご夫婦は笑っていたけど……。半分呪いのアイテムじゃねえかと突っ込んだのは良い思い出だ。……良い思い出か?
「結果的に渡さなくて良かったかな……」
何も知らずにこの指輪を渡していたら……。背筋が寒くなってくる。いやでも、身に着けてからと言う条件だから案外何も無かったかもしれないな。そう思いたい。
俺は箱を閉じて鞄の中へとしまう。改めて鞄の中を見ると、中には色々な物が入っていた。とある町で食べた料理が美味しいと報告したときに、私も食べてみたいと言っていた王女様のために無理して料理人に教えてもらったレシピを書き留めた紙の束、妖精を助けた時に貰った、愛する人に贈るとお互いの愛情が続く限りは枯れないという花の髪飾り、異国の商人が売ってくれた珍しい布製のお守り……健康の祈願や恋愛の成就等色々な種類があるらしい。
見返すとどれもこれも、ほとんどが帰った時に王女様に喜んでもらうために手に入れたものばかりだった。
「なんか……いっぱい集めてたなぁ俺……」
結局、この大量の荷物は持ち帰ることは無くなってしまったのかと虚しくなる。そう思った瞬間、不意に視界が滲んだ。鞄の中に雫が落ちていき、紙の束に染みを作る。先ほどまで我慢していた涙が、不意に溢れ出てしまった。
「ぐ……っ!! うぅ……!!」
一度溢れてしまったらもう自分の意思では止められなかった。拭っても拭っても次から次に涙が溢れ出てくる。喪失感と焦燥感を同時に感じ、今までの思い出が走馬灯の様に駆け巡って行く。
はじめて会った時に優しく微笑んでくれたこと、食べたことの無い料理を食べてみたいと目を輝かせる姿、怪我をして連絡が遅れた時に心配そうに労わってくれたこと、話している途中で寝てしまった時に見せた少し拗ねた表情……。
思い出したのは全部、俺が好きだった人の顔だった。
俺は嘘をついた。
好きだと思ったのは二月前なんて最近ではない、もっと前から好きだった。女性に免疫の無い俺が、あんな可愛い人と接してすぐ好きにならないわけがない。何だったら二回目の通信からもう好きになっていた。女慣れしてない男のチョロさを甘く見るな。
騎士団長とのことがわかってもまだ好きなままだった。どうしても憎く思えなかった。だから、俺を好きになってほしかった。これから愛していく自信が無いというのも嘘だ。彼女が俺を選んでくれたら全部許して愛そうと思っていた。
でも、彼女が選んだのは騎士団長だった。それはそうだ、二人は幼いころから一緒で、お互い想い合っていて、二人にしてみれば俺の方がポッと出てきた邪魔者なのだ。
だから、俺にできるのは好きな人が幸せになれる様に身を引くことだけだった。そう無理矢理に結論付けた。国に帰らないのも、俺が彼らの幸せな姿を見るのに耐えられないからだ。
考えれば考えるほどに頭の中は彼女が好きな気持ちと嫉妬でぐちゃぐちゃになっていく。さっき二人と通信している時に、この思いが溢れなくて本当に良かった……。
部屋の中には耐え切れなかった俺の慟哭が響いていく。本当に、本当に防音をしておいて良かったと心から俺は思った。
「フラれちまったなぁ……」
呟くと、聖剣がまるで慰めてくれているかのように一回だけ点灯した。俺はその柄を撫でて、一言だけ礼を呟くと、大切に鞘の中へとしまっていく。
結局、俺はその夜は泣き続けて、気が付いたら朝になっていた。
次の日の朝、目を真っ赤にはらした俺は仲間達に非常に心配されたのだが適当にごまかした。その時に僧侶にこっそりと耳打ちされたのだが……。
「……防音魔法をかけて何を一晩中していたのか知りませんけど……その……え……エッチなことはほどほどにしてくださいね……」
……詳しく聞くとどうやら防音魔法は指定した部屋の音を完全に遮断してくれるそうなのだが、外からはその場所に防音魔法をかけているというのが丸分かりなのだそうだ。そこだけが不自然なくらいに無音になるからだ。
うん。僧侶にはそういう系統の映像水晶とか見てると思われたのかな。前科もあるし……。戦士も今度貸してとジェスチャーで俺に伝えて来て、魔法使いにバレて耳を抓られている。なんだか安心する光景だな。
僧侶の話を聞いて俺は、やっぱりあの二人の関係は周りにバレバレなんだろうなと確信し、戻らないという決心は間違っていなかったと安堵した。
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