第49話


「深雪!」


深雪は涙を浮かべながら震える声で言った。


「伸二のバカ。

 ちゃんと、刺さないとダメじゃない。

 私が居ないと、本当にダメだね・・・」


深雪は、小さく震えながら、涙を流していた。


「でもね……

 刺さないでくれてありがとう……

 やっぱ、私ね。伸二の事」


深雪は、唾を飲み込み涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら呟いた。


「大好きだよ」


そして、無理に作った笑顔ではなく……

本当に幸せな顔で笑顔を作った後……

深雪の姿が消えていった……

薬の効果が切れたのだ。

この薬は、個人差はあるけれど、そんなに長い間過去に居る事はできない。


そして、俺もまた……

意識を失うような感覚に覆われ……

そして、目を閉じた……

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