第48話


刺さなきゃ……


深雪を刺さなきゃ……


そう思っているのに体が動かない……


幸せそうに笑う深雪を見た時……

手が震えた……


俺は、その場で泣き崩れた。


情けない。

俺は、自分の中で自分を罵倒し続けた。


すると、懐かしい香りと共に、俺の横を誰かが横切った。

そして、深雪の背後に向かうと、キラリと光るナイフで深雪を刺した。


深雪はガクリと倒れた。

そして、刺した本人は後ろずさり……

走って逃げて行った……


俺は、追いかけた。

この香を・・・

あの後姿を俺は知っている。


走って追いかけ、押し倒し、掴まえた。


そして、俺はその人の名前を呼んだ……


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