第47話


深雪は、俺にそっとナイフを渡した。


「いってらっしゃい」


「いってきます」


ドラマでよくあるシーン。

それは、新婚の夫婦。

妻が夫に仕事を送り出すようなそんなシーンが頭に浮かんだ。

だから、俺は、夫が仕事を見送る妻にするように手をあげた。


「いってきますのチューは?」


深雪が照れくさそうに言った。

俺は、照れくさそうに深雪の唇にキスをした。

それは、きっと今までで一番、短いキスだったと思う。


そして、一気に薬を飲干した。


夢を見る時の感覚……

目を軽く押されるような感覚。

目を閉じて、再び目を開けた時。

誰も居ない、研究室の中に居た……

俺は、そこにあった、コートを羽織り、内ポケットにナイフをしまった。


かなりの急ぎ足で俺は、あの時の公園に向かった。


若い頃の俺と若い頃の深雪……


二人は、向き合い何かを話して居た。

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