第39話


よっぽど何かに疲れていたのか、深雪は酒を少し飲んだだけで、寝込んでしまった。



「あの子にとって君は、父であり、子だった……

 だから、もし君があの子と一緒になってくれるなら……

 こんなに嬉しい事は無い……

 あの子を決して裏切らないでやってくれ……

 あの子の前では、いつも笑顔でやってくれ……

 あの子にとって、一番苦しい事は、君を失う事であり・・・

 君が苦しむ事がその次に辛い……だから……」

 

親父さんは、俺の顔をじっと見つめ真剣なまなざしでそう言った。

もしかしたら、俺の中の迷いを見透かされたのかもしれないな……


「伸二……?」


振り替えると、深雪がそこに居た。


不安そうな目をしながら、俺の横に座ると、父親が飲んでいたブランディ

の容器をぐぐっと飲んだ……


俺は、それを止めようと深雪の腕を掴んだが、すぐに振り払われた。


「伸二、私に隠し事をしているでしょ……?」


深雪は、呂律が周らない口調で俺を睨んだ。


「いや……

 そんな事は……」


言えるはずが無い……


「伸二、嘘が下手だよ……

 伸二は嘘を吐く時、目を逸す……

 真剣な話の時も、嘘を吐く時も、目を逸らすよね。

 解るよ、伸二の事ならなんでも……」


深雪は、そう言うと俺の目を見ながら色っぽい目で俺を見た。

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