第38話

父親と二人で、深雪を寝室に運んだ後、俺達は酒を飲み交わした。

父親は、グラスを片手に持ち、寂しそうな目で俺を見た。


「確か、最初に合ったのは、君が4つの時だよね?

 覚えているかい?」


「はい。」


父親は、グラスに残って居た、ウイスキーを一気に飲み干した。


「ありがとう。

 そして、すまなかったね……」


「?」


「あの水族館の後、あの子は、明るい子に変わったよ……

 今では、想像出来ないかも知れないが……

 人前で、笑ったり怒ったり話したり……

 そんな事が出来る様な子ではなかった……」


それから、俺の知らない深雪の話をしてくれた。


母親の具合が悪くなってから、あまり構う事が出来なかった事……

その寂しさを俺にぶつける事で、深雪自身が明るくなった事。

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