第32話



深雪は、今も泣いている。

だけど、どんな言葉をかければいいかわからない


「おめでとう?」


これはまるで、他人行儀だ。


「ありがとう」


これは、これでどこかおかしい。


「どうして、黙るの……?」


深雪が、不安げに俺の顔を見ている。

だけど、俺は何も無い天井を眺めるしか出来なかった。


深雪が、俺の腕を掴んだ。

その手は、震えている。


「トイレに行って来る……」


俺は、その手を振りほどき、ベットから降りた。

背後から深雪の啜り泣く声が聞えた。


俺は、何をやってるんだろう……

俺は、なんの為に過去に来た?


深雪を救う為に、過去に戻って来たはずなのに……

アイツは、今、泣いて居るじゃないか……


俺は……


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