第31話

何をしているのだろう……

キスの後に言われる言葉が怖くて、いつもより長いキスをした。


そして、キスが終わり何かを言おうとした深雪に俺は、こう言った。


「今すぐ結婚しよう……

 絶対幸せにするから……」


深雪は、何も言わずシーツをくしゃりと抱き締めながら・・・

そして、息をかみ殺しながら、泣いた。


俺は何をしているのだろう・・・

どうしたら、いいのだろう・・・


何をしたらいいのか、解らなかった。


抱き締めて、キスをして、そしてセックスをする。


それで、誤魔化す事なんて出来ない。

そんな子供騙しは通じないだろう……

もう、そんな事で誤魔化す事ができる歳じゃない。


深雪は、涙を流しながら今にも消えそうな声で言った。


「私ね……

 伸二にね、言わなければいけない事があるの。」


聞くのが怖かった。


『他に好きな人が出来た』


『伸二の事好きになれなくなった』


俺は、あらゆる言葉を覚悟した。


「赤ちゃんで来たの……」


俺は、言葉を失った。


「あのね……

 絶対伸二の子なの!私、伸二以外の人と、そう言う事をしてないし……」


そして、深雪は小さな声で呟いた。

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