第25話


美穂は、しっかりと力強く俺の手を握った。

その手からは、トクトクと脈を打っていた。

こんな小さな手なのに、熱を作り上げている。


ふと顔を横にやると、真っ直ぐと前を向き、深雪は優しそうな瞳をしていた。

深雪は、俺の視線に気付くと俺の目を見て、ニコリと笑ってくれた。

なんとなく、恥ずかしく感じた……


イルカのショーに、オットセイ、巨大なエイにラッコ見ている間に時間は過ぎた

そして、気がつけば日が暮れていた。

深雪は、ずっと笑顔だった為、来てよかった実感した。

疲れたのか、美穂は俺の背中でスヤスヤと眠っている。


「こうして見ると、私達って親子だよね……絶対」


夕日のせいか、深雪が頬を赤らめていた。

可愛く思い、ついからかいたくなった。


「いや、少なくても俺はそこまで老けてないぞ」


「私達、子供が居てもおかしくない年頃だよー?」


俺達は、そんな会話をしながら迷子センターに戻った。

夕方だけあって、迷子センターの遊び場にいた子供は僅かだった。


そこに、眠っている美穂だけを置いて帰る事は忍びない。

なので、俺達は美穂が目覚めるまで、そこに居る事にした。


俺は、美穂を深雪に預けると、俺は他の子の相手をする事にした。

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