第22話

「はい♪完成

 これで、誰にも男の子とは言わせないぞ~」


と、ご機嫌な声で言った。

「お前が間違ったのだろ?」と思ったが、鏡の前で笑う、美穂ちゃんの笑顔を見ていたらどうでもよくなった。


美穂ちゃんは、おもちゃ箱から、おままごとセットを取り出した。


そして、深雪の方を指でさして「ママ」と言い

俺を指差して「パパ」と言った。


「美穂ちゃんの、パパとママはどんな人なの?」


深雪は、好奇心でそんな事を尋ねた。

すると美穂ちゃんは、悲しそうな声で言った。


「パパとママは、お仕事ばっかで、遊んでくれた事ないの……」


「でも、今日は一緒に来たんだよね?」


と、深雪が尋ねると美穂ちゃんは、首を横に振った。


スタッフの人も話を聞いていたのか、俺の耳元で囁いた。


「センター長を呼んできますね。」


「あ、はい」


美穂ちゃんは、一人でここまで来たのかな?

そんな事を思うと、小さい頃の自分と美穂ちゃんの姿が被って見えたような気がした。


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