第21話


俺達が、奥に入るとじっと座り込んで居る子供が居た。


俺は、視線をその子に合わせるように小さくしゃがんだ。


「こんにちは」


男の子は、口の先を少しだけ上に上げると、コクリと頷いた。


深雪も同じく視線を合わせながら、その子に話しかけた。


「某やお名前は、なんと言うのかな?

 あ、私は深雪で、このお兄さんは、伸二って言うの」


その子は困った顔をして俺の方を見た。

俺は、その子の顔をじっと見つめてからこう言った。


「伸二だ。よろしくな」


そして、手を出すとその子は、可愛らしい声でこう言った。


「美穂です。」


美穂……

男の子だと思っていたが、女の子だったのか。


「君、もしかして女の子?」


深雪が、驚いた口調でそう言うと、美穂ちゃんは苦笑いを浮かべながら笑った。


髪は短く、帽子を被り、ズボンをはいていた為、男の子だと思っていた。


だけど、女の子だったらしい。


深雪は、自分の鞄のポケットからからリボンを取り出した。

そして、美穂ちゃんが被っていた帽子を深雪は取った。

そして、美穂ちゃんの髪をそのリボンで結い始めた。


美穂ちゃんは、頬を赤くしながら、しきりに近くにある鏡の方を気にしていた。



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