第20話

深雪は俺の腕を組み、引っ張る様に迷子センターの方に向かった。


「覚えていてくれたんだね♪

 私、嬉しいな♪」


深雪はそう言いながら、迷子センターの扉を開けた。


「おはようございます。皆様!

 20年前の今日、ここでお世話になったバカな二人です♪」


深雪は、大きな声であいさつした為、迷子センターの人達は、きょとんとしていた。


「深雪ちゃん、久しぶりだねぇ~

 その子が、例の子かい?」


と、中年の男性の人が声を掛けてきた。


「あれ?深雪の知り合い?」


俺が、深雪に尋ねると深雪は頬を膨らませて、俺にこう言った。


「も~、あの時

 お世話になった迷子センターの人だよ~

 覚えてないのー?」


すると男性は、ニコニコ笑いながら嬉しそうに話しかけてくれた。


「伸二君だよね?

 まさか、二人とも本当に来るとは思わなかったよ・・・」


すると、奥の方から中年の女性のスタッフが現れた。


「もしかして、あの時の二人?

 懐かしいわねぇ・・・」


俺には何の事かわからなかった。

顔に【?】マークを浮かべていると、女性の人が教えてくれた。


「あら?あの時、貴方言ったのよ?

 覚えてない?

 『お世話になりました。

  今すぐお礼をする事は出来ませんが・・・

  大人になったら・・・

  大人になった二十年後の今日、二人でまたここに遊びに来ます』って。」


「あの時、ませている餓鬼だなって思ったけど、本当に来るとは思わなかったよ・・・」


「そう?私は来ると思ったわよ?

 あの時の、貴方の目、真剣だったもの……

 だから、私、若い子に無理言ってシフトを交換してもらっちゃったんだもの♪」


少し思い出した気がする・・・

俺は何故だか恥ずかしいやら可笑しいやらで、笑ってしまった。

それを、誤魔化すように俺は言葉を続けた。


「迷子は居ますか?遊び相手になりますよ?」


おじさん達は嬉しそうに笑った。


「ああ、居るよ。

 泣いている子が一人居るから、よかったら励ましてやってくれ。」


おじさん達に連れられて、俺たちはその子の居る所へ向かった。

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