第15話


指輪は、買えた。

ただいつ、プロポーズするか……


あの時と同じタイミングだと、深雪は死んでしまう……


そんな気がした。


ふと俺は、『タイムマシン』と言う映画を思い出してしまった……

その映画では、亡くなって恋人を助ける為に、色んな方法を試すものの、結局その恋人は死んでしまう……


そういったモノだった……


どうすれば、救えるのだろう……

俺が悩んでいると、携帯に深雪から電話が掛かってきた。


「もしもし……?

 伸二?」


「あ、どうした……?」


俺は、感情の無い声で答えていた。


「あれ?もしかして、元気がなかったりする?」


「いや、大丈夫……」


電話の向こうで、俺の気をつかってくれる声が聞こえる……

とても心配そうな声だった。


「ん~

 明日って、伸二も休みだったよね?」


「ああ……」


「水族館にいかない??

 加藤のおじさんにタダ券を貰ったんだ♪」


「それは、楽しみだな……」


「やっぱり、なんか、あったでしょ?」


「いや、何も無いよ」


「う~ん。

 じゃ、今から、ティンカーベルに来れる?

 ちょっと、お話しようよ。」


「わかった、すぐに向かうよ」


「うん。

 じゃぁね。」


と、電話が切れた。


ティンカーベルと言うのは、駅の近くにある喫茶店で、深雪のマンションの下に

ある為、よく深雪との待ち合わせに利用している場所だ。

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