第10話

「いや~若いって良いねぇ~」


加藤室長だ……

確か、肺癌で亡くなるんだよな……


俺が、下を向いて居ると、同期の西村が、俺の頭をこついた……。


「お前、昨日は深雪ちゃんと、デートだったよな……?」


「あ……あぁ……」


「で……遅刻したと?」


「遅れて、すまない……」


すると、西村は腕を組んで少し引きつった顔で話を続けた。


「そう言う事を言ってるんじゃねぇ……

あの美人の深雪ちゃんに、夜遅くまで、あんな事やこんな事をして、楽しんでたんだよな?」


「ふ、不潔です!」


研修生のフミちゃんが、目を潤ませながら、俺を見つめた。


懐かしい面子に、俺は懐かしさを感じつつあった。


「知ってるか?陰毛を調べれば、その人の性暦が解かるんだぞ?」


フミちゃんが目を丸くして驚いている。


「オラ!陰毛調べてやるから、脱げ!」


「先輩……

 研究の為に犠牲になって下さい……」


と、二人掛かりで俺のズボンを下ろそうとした。

加藤さんは、ケラケラとその様子を楽しんでいる。


俺は、とっさに思い出した……

確か、この二人……

この時には、付き合っているはず……


「お前ら、二人はどうなんだよ~?

 意気投合しちゃってさ、付き合ってるんじゃないのかぁ?」


「な、なぜそれを!?」


油断した、二人の手を振り払い。

俺は、体制を整えた。


そうこうしている内に、深雪が戻って来たのを確かめると、加藤さんが、「そろそろ仕事をしようか……」と、言ったのを合図に、今日の業務が始まった。



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