第3話
待ち合わせの時間は、朝の六時……
大学一年の頃だっけ……
朝、眠気眼の、深雪を無理矢理起して、この場所に呼び出して……
そして、告白したのは……
そう言えば、あの時も、怒ってたよな……
『私、パジャマなのに……いきなり告白なんて、ひどいよ~』
って……
俺が余韻に浸っていると、ナイフを振り回している男性に、若い女性が襲われているのが、目の前に入って来た……
俺は、何も考えず……
その子を助けようと、その男に蹴りを入れると、男は、すぐに逃げて言った……
「あの……
ありがとうございます……」
少女は、照れくさそうに、お礼を言ってくれた。
「いや……
気にしなくていいよ……
それより、危険だから帰った方がいいよ……」
「あ、はい……。
では、失礼します。」
少女が走る度に、ポニーテールが上下に揺れたので、印象に残った……
俺は、振り替えり、彼女が来るのを待った……
すると、川を挟んだ向こう側のベンチに座っている彼女の姿が目に映った……
「やばい……
向こう側だったのか……」
俺は、走って彼女の元に走った……
深雪は、俺の姿に気付くと、顔を膨らませながら
「もう、伸二が遅刻するなんて、信じられない」
と、言った。
「早く、早く♪」
と、俺にせがんだ。
無邪気な顔が、可愛くてとても愛しく感じた。
「深雪……
俺は、収入面から、今はすぐに、君を幸せにする事は、出来ない……
だけど、だけど……」
深雪は、うん、うんと相槌を打ちながら、俺の話を聞いてくれた……
「だから、三年後。
それまでに君を絶対に幸せにする事を、この指輪に誓います。」
彼女は、俺にもたれ掛かって来た。
俺は、それがOKのサインだと思っていた……
だが……
彼女の様子が少し、おかしかった……
俺は、抱き締めた彼女の手を見ると……
真っ赤だった……
彼女の足下には、包丁が転がっており……
そして、その先には、彼女の血がこびり付いていた……
向こうの方で、男が取り押さえられていた……
恐らく、先ほどの男だ……
彼女は、弱々しい声でこう言った……
「『受け取って下さい』は?」
俺は涙を流しながら……
「指輪を受けってください」
と言うと……
彼女は幸せそうに指を差し出した。
そして、俺は、震えながら、その指に指輪をはめた。
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