第3話

 いつものように改札を抜け、定期券をケータイのカバーに戻し、いつものように画面を見た。

 そして、作者の“日常”は終わった。

 内心、戸惑いを隠せないまま電車に乗り込む。いつもと同じように発車する車両。その中で始まる、作者の非日常。誰が予想しただろうか。つい昨日、近所の銭湯にあるお地蔵様に「良いことがありますように」と願ったばかりなのに。

 最高に最悪な現実が目の前に突きつけられた。

 電車の中、作者はただ半分真っ白になって思考が止まっている脳をなんとか動かすことに必死だった。

 もう半分は、朝方のためそもそも起動していない。

 電車は止まり、作者は降りて、いつもどおりアルバイト先に向かう。だがすでに「いつもどおり」ではない。

 駅からまたしばらく徒歩である。上司が一つ手前の横断歩道にいた。寸前まで気づかなかったが、気づいた瞬間の作者のカラ笑顔はすごかった。

 そこを通り過ぎればしばらく一人。やっと思考が追いつき、多くの思い出が次々とフラッシュバックした。

 作者の胸は、チクチクと痛み始めた。

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