第43話 逆ハーレムルート!
その上、試練として妖精王の出す課題をクリアしないといけない。妖精王って一人だけじゃないしね……火・水・風・土・光・闇の六属性に一人ずついるから課題も六人分っていう……もう、ね。お察しくださいって感じ? でも、クリアして祝福をもらわないとなれないから……。
この『光の乙女』ってポジションがこの世界にとっては重要で、絶対に失えない人類の至宝みたいな人なの。
だから、彼女を守るために複数の守護騎士が必要で、そこで逆ハーが形成可能になるって設定です。
タイプの違うイケメンを侍らせてみたい、情熱的に愛されてみたいっ、それも総愛されでイケメン達がヒロインのために争ったり、協力して守ってくれたりするっていう、女の子の夢を叶えてくれるルートです!
折角、乙女ゲームの世界に転生したんだし、やっぱり再挑戦してみたいなぁ。
もし主要攻略対象の五人がダメだったとしても、ワンコキャラとか弟キャラ、癒しキャラとかお助けキャラとかイケメン揃いのおいしい脇役キャもいるし。
それにモブでさえ、キラキラしているのはさっき見たからね!?
ここは芸能クラスかってくらい。もう、みんな素敵過ぎて目移りしちゃいそうだよ!
大好きな乙女ゲームの誰からも愛されるヒロインキャラに生まれ変わったわけだし、この立場を目一杯利用して楽しまなきゃ。
単独攻略も捨てがたいけど、やっぱり色々と美味しい思いが出来る同時攻略、逆ハールートを目指すのがいいよね、うん!
目指す方向性が固まったところで残りの二人、ハロルド様とロイド様も復習しとこう、うん。
学年が違うから、偶然にヒロインと出会うことになるんだけど、出会いイベントの回数も少なめだから失敗は許されない。
ハロルド様は王弟で近衛長官でもあるバイロン公爵の長男。クリストファー第二王子の次に人気だった。
クリストファー王子と同じく金髪なところはキャラ被りしてたけど、瞳が印象的なバイオレットサファイアで綺麗なんだよね。
目力も強くて見つめられるとキュンキュンしちゃう。とにかく格好いい。少し斜に構えたところなんかもう最高だった!
剣の達人で、仲が良かった婚約者を亡くしていて、高位貴族にしては珍しくフリーなんだよね。
身分も高くてイケメンだし婚約者もいないって言う優良物件だから、このルートではヴィヴィアン以外にもいっぱい出てくる貴族のお嬢様達と競わなきゃいけない。とにかく競争率が激しいの。
そこで、ヒロインには皆より一歩先んじる為に必要なアイテムが用意されています! それが香水。勿論、すでに入手済みだよっ。
ヒロインが、ハロルド様の亡くなった婚約者さんが好きだった香水と同じものを使っていたことから、興味を持たれるって設定です。
中庭で出会いの場面があるんだけど、そこでは直接言葉は交わさないんだ。
ハロルド様は押せ押せの女子相手に辟易しているからね、ヒロインが話し掛けて来ないことに好印象を持つの。珍しいピンクの髪色とも相まって関心を持たれるんだよね。
だがら、初回の出会いイベントでは目を合わせるだけで我慢しなきゃいけない。焦らし作戦ってやつ? こっちが焦れそうだけどねっ。でもこれが攻略のためには重要だからっ。頑張って話しかけないで、目線でキャラ愛を伝えるぞー!
最後はロイド・リーン子爵令息。
爵位は低いながらもその才覚で財務副長官にまで上り詰めたリーン子爵の長男で、攻略しやすい難易度低めのキャラ。
明るいオレンジ色の髪と、新緑のような優しげな色合いのライトグリーンの瞳を持つ長身のイケメン。気さくで隣のお兄さんみたいな親しみのあるところが人気だった。攻略対象の中では一番年上だしね。
ロイド様は十七歳だから、一年しか学園に通わない。
舞台となる王立学園には年齢制限があるから、一旦、卒業してしまわれるのだけど、先生として再び学園に戻ってくる予定なんだよねっ。
ヒロインとの絡みは生徒の時と先生になってからのと両方のバージョンがあって、一度で二度美味しい感じでよかったなぁ。先生バージョンは、急に大人を全面に出して来て、色気もパワーアップしてて魅力的なの。
彼と出会いイベントでは、ヒロインが落としたハンカチを拾ってくれるというベタなもの。そこで少し会話するんだけど、貴族令嬢にはない天真爛漫さを持つ彼女に惹かれて、後日、新しいハンカチをプレゼントしてくれる。
そこから交流が始まるんだけど、初めは妹みたいに甘やかしてくれるし、親密度を上げていくと実家がお金持ちだから素敵なプレゼントもいっぱいくれるんだよね。
センスもいいし社交的だし、一緒にいて楽しい人。包容力のあるお兄様系って感じで彼も大好きなキャラです!
というわけで改めて振り返ってみたけれど、もうもうっ、全員格好よくて大好き過ぎる! 早く三次元で見たい!
入園式から二週間の間に、主要攻略対象五人全員との初回の出会いイベントがあるけど、クリストファー様以外とは顔合わせしない予定になっている。我慢出来るかなぁ、わたし?
だって同じ学園内に、あんなに憧れて大好きだったキャラが全員、同じように生きて動いていているんだよ!? イベントまで見るのもダメとか辛すぎるって。
……いや、でも別にダメとは言われて無いよね?
ゲームでは入園式から出会いイベントの日にまで一瞬で飛んでたし? ゲーム内で描かれていない時間があって当然で、プレイしてた時より自由に動ける時間もいっぱいあるはず。
……ってことはさ、イベントとは関係ない時間帯にこっそり遠くから見るくらいは許されるんじゃない?
初回イベントまでの道筋は分かっているんだから、見つからないような場所も探せばあるはず!
うん、それがいい。そうしよう! まずは楽しまなきゃ。
二次元でも大好きだったけれど、いくら好きでも画面越しでは触れ合えないし、吐息も感じられなかった。でも、この世界なら手の届くかもしれないんだから!
コイサクファンとしては最難関ルートのクリア目指してやるしかないでしょ!?
そりゃあ、逆ハーエンドはリスクが高いけどさ。無理そうだったら諦めてもいいしね、気楽にいこう。
よし、頑張るぞー!!
―――第一章 目覚めた記憶 完―――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます