終焉

 晨風は、遠い昔、唐から海を越えて、遠路はるばるこの土地へとやってきた。仙術を身につけた不老不死の彼は、たまに人前に姿を現しては人助けのようなことをしている内に、この土地で自分の存在が言い伝えられるようになった。現代になっても、迷信深い者の多いこの土地の老人は、自分のことを信じている。

「救えなかったか……」

 目を瞑った晨風の頭に、ことの顛末が全て流れ込んでくる。

「外法に手を出すとは、今の世の男子おのこも恐ろしいものだ」

 恨みつらみで死んでいっただけの少年であれば、このようなことはできなかったであろう。けれども、この件の元凶である磯山良という少年は、自らの命を代償として、外法に手を出した。その結果、二人の生者を道連れにしたのである。

 艶のある晨風の髪が、吹き寄せた風に揺られた。草木の匂いを含んだ、生暖かい風であった。


 明くる朝、祖父母は例の離れに向かった。その扉が開きっぱなしになっていたのを見て、祖父母共々、嫌な予感が頭をよぎり、恐る恐る中を覗いた。

「ああ……」

 玄関には、血溜まりができていた。けれども、肝心の庄太の体がない。離れの中を隈なく探してみたが、とうとう、庄太の体は見つからずじまいであった——


 

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吉備津の…… 武州人也 @hagachi-hm

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