第24話 社交


R市から、両親が訪ねてきた。

佐川悦司は、大学が順調にいっていることを、告げた。


今日は、話があってな。


隣りの県の県知事の三男を、家で預かることになった…。


悦司の家の、空き部屋の一つを使うのだと、言う。


「一応お前に話しておこうと思って。」


「ヤングゼネレーション」という公共活動をしているという三男の、

R市での活動拠点として、部屋を提供することになったというのだった。


「ヤングゼネレーション」とは、

政界ジュニア世代の、たたき台ともいえる、公共活動団体だった。


「すばらしい子だ。」

父は、その子を手放しで誉めた。


「お前も、付き合うといいと思ってな。」


前沢乙名(まえさわおとな)という青年は、悦司に、新しい風を招き入れた。

悦司さんも、「ヤングゼネレーション」に入りませんか?


悦司は、乙名の活動の説明を、聞いた。


今度中国の研修旅行にいくんです。

「新世代」という名前で、訪問団を組みました。


悦司は、両親の勧めもあって、「ヤングゼネレーション」に加入を決めた。


政治研究会「平成景山会」に入っている高塚も、「いいんじゃないか。」と笑った。

悦司も、もう一人前の時期なんだし。加入はいい機会だよ。


「はい。佐川を、新世代に加入させました。」

その晩、乙名は、とある場所へ、連絡していた。


悦司の周りで、歯車が大きく回り始めた、三月のころである。


―つづく―












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