第23話 風評
佐川悦司が、マンションに帰りつくと、郵便受けに、「光の子教団」の上沢みつよの名刺が入れられていた。
悦司は、その名刺を見ながら、溜息をついた。
今日は何て日だ…。
目の前を過ぎった、宇津見凪子の車列を、見送った時の感情が蘇ってきた。
凪子の、順調に階段を上っているような、車列を見送って、いささかの感情が、悦司の胸に湧いていた。
高塚が、笑った。
「占い師の、ところだろうさ。」
君のマンションに住んでるって聞いたぜ。
政界に、経済界に絶大な影響力を持つという、(セ・イレン)という占い師がいるのだという話に、悦司は、高塚の情報力を驚嘆した。
君のタワーマンションは、結構、霊能力者の巣なんだぜ。
スピリチュアル系っていうのかな。
上沢の突然の出没も、勧誘も、そのせいなのだと、悦司は思った。
今度の総裁選の日取りを決めにいったんだと思うよ。
高塚は、一人合点して、「うん、きっとそうだ。」と笑った。
―つづく―
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