第21話 再会
宇津見凪子は、その後しばらく姿を見せなかった。
コウアイの御曹司の結婚が、佐川悦司の耳に届いた。
悦司は、御曹司に、電話で、「聞いたよ。」と笑いかけた。
サークルの同期の音無秀季(おとなしひでき)は、
「結婚式には呼べないけど。」と言いながら、
そのうち紹介するよ、と、言った。
設楽しおりと会いたい…。
友人の結婚が、悦司に、一抹の寂しさを感じさせていた。
しおりは、五月二十五日に来る。
それで…?
式はいつ?
悦司の質問に、秀季は、「五月二十五日だよ。」と、答えた。
奇妙な符号に、悦司は、一瞬言葉を失った。
「何だよ。」
いや、と、悦司は、じゃあ、そのうちと、電話を切った。
手帳の五月のページに、記しをつける。
再会の予感は、悦司の心を、昂らせた。
三沢えりこには、何故か、公演のことを言えなかった。
宇津見凪子とのハグを見てから、連絡をとれないままだった。
えりこのことを考えていると、ラインにえりこからの、メッセージが入って居た。
「ファイナリストになったみたい。」
ファイナリスト以上は、東京モードへの就職が決まるという。
オライオン…。
えりこの所属するグループまで、明らかになっていた。
「あ、しおりから、連絡あったよ。」
公演の後、会う予定になっているんだ…。
一緒にどう?
えりこは、軽い口調で、悦司を誘いかけた。
―つづく―
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