第7話 政略
設楽しおりとのデートは、悦司にとって面白い結果を生んだ。
しおりは、デートに疲れたように、帰りの電車で眠りはじめた。
余程疲れていたのか、しおりは、こっくりこっくりと深い眠りについていった。
しおりが、電車の揺れで、悦司の肩に、その頭を傾けると、
悦司は、しおりの体温を感じて、至福の喜びに満たされていった。
「じゃあ、また。」
しおりを送って、自宅に戻ると、
母が、父と上機嫌に、悦司を迎えた。
「おかえりなさい。」
その上機嫌の訳は、すぐに悦司に明かされた。
「じつはね、悦司に縁談があるの。」
悦司は、両親の上機嫌ぶりから、厄介なことになったと、感じた。
「市長の御嬢さんの、三崎かなえさん。この間、お会いしたでしょ。」
悦司は、
両親に、今はまだ、縁談に関心がないことを告げた。
「大学も、まだ終わってない状態だし。」
まだ、三年くらいは、自由でいたいと、悦司は、両親に答えた。
「もうすぐ、夏休みも終るし、学校に戻らなくっちゃ。」
悦司は、言葉尻を摑まれないように、そっけなく、その場をたった。
悦司の友人の中には、そういう話がちらほら聞かれるようになっていた。
県会議員の柴本さん、今度、R商事の御子息との、ご縁組が整ったんですって…。
そんな時、国会議員の娘の宇津見凪子と、悦司は出逢った。
―つづく―
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