第一一〇一回 また訪れた、熱き日々よ。


 ――時は、まさに七月最中。梅雨も真っ只中な頃。三連休を迎えようとしていた。



 静かな夜。子供たちもスヤスヤと眠り、音はカタカタという、キーボードの音。マウスの音も添えるけど、眠りへと誘う、ちょうど良い感じのハーモニ。そんな時だった。


 スマホが震えた。


 着信? と一瞬は思ったけど、違う種類……


 手に取ってみると、SNSの類だった。チャットでもLINEでもなく、ショートメールとでもいうのか……実は、僕もその関係は詳しくなかった。梨花りかもまた然りで、可奈かなが詳しくて、いつも頼りにしていたから、この時は僕一人、よくよくと目を通したの。


千佳ちかちゃん、お久しぶり。実はお願いがあって、このショートメールを飛ばしたの。また戦ってくれるよね? 近々ウメチカ戦があるから。とても楽しみにしてたから。その件も合わせてお願いしたいから。……でも安心して。勝負に八百長は依頼しないから』


 ……誰? 差出人は?


 登録している子だった。なら、知っている子だ。僕は辿る記憶の糸。……その子の名前は『カンちゃん』となっている。この文章から思うに、女の子と思うけど、これまでのウメチカ戦の対戦相手で思い出すも……ハッとなった。確かにそんな名前の子がいた。


『会いましょ。ウチは君の顔を知ってるから。最寄りの駅付近のドラックストアで、明日の四時がいいかな? ちょうど学校帰りだね。ウチは白いパーカーを着てるからね』


 と、一方的に予定を入れられたような感じ。


 これでもまだ、僕は返事をする前で、次々と送られてきたから。すると背後から、


「千佳、会おう」と、声が聞こえた。振り返れば、


「あ、梨花」という具合に、そこには梨花がいた。いつからいたのかは不明だけど。


「……そうだね。僕が太郎君と再会した日も、こうだったね」と、思い出すあの日。よく似たシチュエーションだったから。もう、その選択肢は「会おう」になっていたから。


 そして、僕はまた、ウメチカ戦へ参戦する方へと、傾きつつあるような気がしたの。



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