第一〇九六回 令和六年の七月六日。
――その日が、ちょうど今。
少しばかり振り返った思い出を胸に、僕と
少し前までは二十歳だったけど、今はもう十八歳。まだ高等部に在籍していながらも成人年齢を迎えた。やっぱり不思議な感じ。僕は、もう大人だ……なら、胸を張って、この子たちと向き合える。堂々と、僕はママと宣言できる。そう思うと、胸はスッキリする。
僕自身は、正直そんな感じだ。
でも梨花は戸惑っている。
今日は土曜日。
午前なら、まだ清々しい風。
決まれば、実行するまでは、まさに音速の勢い。今はもう歩く、三人並んで。七夕は明日だけれど、もしかしたなら僅かな時間のズレで、今日という説もある。某ロボットアニメで語られていた七月六日という日付。そして着いた場所は、プラネタリウム。そこから始まる物語は、一年越しに会える宇宙を舞台とした遠距離恋愛。ロマン溢れる内容……
女の子三人が、これから堪能する。
毎年恒例の儀式的なもの。プラネタリウムには、新しい機能も備わっている。これまでよりも教材っぽく、細部にまで説明が施されている。淡々としたナレーションは、やはり今までと変わらず。それでもロマン溢れる物語。天の川で会う、彦星と織姫の物語……
僕は聞き惚れる。
可奈が、天文学が好きなのも解るようになってきた。
乙女チックな横顔。……でも次第に聞こえてくる鼾。僕はクスッと笑う。三人で初めて来た時が思い出されるの。梨花が腕を組んで、脚を広げて、パンツも見えて……まあ、これ以上は本人が可哀そうだから伏せておくとして、そう思ったのも束の間。可奈の拳骨が梨花の頭に炸裂した。予想はしていたけど、「痛あ~」と、頭の天辺を擦る梨花。全く同じなの。可奈は赤い顔をして「何何々? 可奈、可奈って、甘えた声で」と、声にした。
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