第一〇五六回 暦は、もう少しで。


 ――Xマスの余韻を残しながらも、もう大晦日になっていた。



 洋風が、いつの間にか和風へ摩り替った。


 その様なイメージを持ちながらも、今日の日は始まった。まずは、まだ薄暗いお部屋の中から始まる。所々で雨……と、予報ではなっていた。しかしながら計画はあったの。


 組み込まれている冬休みの予定。


 ゆずれない計画が、この日にあった。この日だからこそ、ゆずれない計画。一年の締め括りは、やはり年越しにある。前々からの素朴で、密かなる計画だ。勿体つけているわけではないけれど、どうしてもやりたいことだから。


 年越しそば。


 今日のお昼に食すこと。その行く先は、やはりあのラーメン屋だ。


 雨飾る御堂筋。梅田の地下に伸びゆくレールによるネットワーク。旅は道連れも要するというのか、パートナーの太郎たろう君。バス停で合流していた。電車に乗る前、既に……


 と、いうことは、電車の旅を共にしていた。

 二人きりの旅だ。そして目的地まで、歩みゆく二人で。


 その過程を経て、到着だ。来夢来人、それが店の名前。

 店内に入ると、すぐさま「何名様ですか?」と、声を掛けられて「二人」と答える。


 そして席へ案内され……


「よお」と、懐かしき声が聞こえた。


しょうさん」と、笑みの花が咲き誇る。


 お冷が置かれる。メニューはまた選んでから。……ということで「決まったら、ボタン押して知らせろよ」と、奥の奥へ、厨房の方へと、翔さんは身を躍らせながら入った。


 触れなかった……

 僕のお腹のこと。もう服の上から見てもわかるのに。


「さあ、何する?」と、太郎君はメニューを見せて……やはり創業の味を選んだ。



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