第九九〇回 初戦で早くも一か八か。


 ――もう、その様な場面。前に見た、合体ロボットアニメで、この様な展開があった。



 それは、体当たり……


 我が身こそが最大の武器なのだ。どの様に体当たりするのか? それは小鳥が飛ぶように。或いは火の鳥のように……オーラ―充填。全身が光放つ、炎に包まれるように。そして広がる翼。まるで大気圏に突入するように。僕は叫んだの。その技の名を。


 照準セット! 大気圏突入アタック!


 その速さは、まるでマッハ。音速を越えた。音は、後から響いた……


 だとすれば、どうだろう? 白い相手は真っ二つどころか、木端微塵になって……驚愕な表情を、その白い相手を動かしていた女の子は浮かべる。かいの妹とわかる程に似たその女の子が。僕の魔法少女を扮したキャラは、やはり一か八かというだけあって、相当なダメージを受けたけど……僅かばかりに残ったHPのお陰で、ギリギリ助かった。


 僕は肝を冷やした。ここで負けられないから。


 静まり返った会場だけれど……急激な拍手喝采。早速の名シーンで飾ったの。


 そして……


 近づいてくる、その白い相手を動かしていた女の子。僕のブースまで。所謂いわゆる操縦席まで駆けてきた。とてもとても爽やかな表情、その風をも。見た目は中学生。それも一年生くらい。お顔とその容姿、雰囲気も含めて、やはり海の特徴を掴んでいる。


「お強いですね、ウメチカさん。会いたかったです」


 と、その子は言う。何だか長話になりそうな感じだから、向こうでお話しない? との展開に至る。この時は、炭酸飲料を渇いた喉が欲しがるから。それは、この子も同じ。


 自動販売機の前。簡易的な丸いテーブルを囲んだ。


「自己紹介まだだったね、僕は星野ほしの千佳ちか。君は……?」


卜部うらべそら。姉の海がお世話になってます。私も、二学期から高等部一年生で、学園に通うことになりました。あなたのことは姉や、書くと読むで、お会いしたいと思って……」



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