第九五五回 ザ・忍者!
――ドロドロドロと音を立て、またも現れた。まるで神出鬼没。
その場所は、例の場所……
宿直室とも言える正門付近にあるお部屋だ。まさに出ようとしたその時だった。出入り口のドアの前に立ちはだかっていたのだ。
紅燃ゆる夕映え。或いは光の中……
いいや、逆光だからシルエットのように思えたけど、意外と表情が窺える程度のものだった。彼は、固まっていたのだ。狼狽と解釈できるような表情。
「
……きっとそう、そうとしか思えぬ……」
と、それが精一杯の言葉のようだ。それにしても、何に驚いたのか? 彼の中では
それもその筈、僕と梨花が一緒にいるのだから。
梨花は頭を抱えつつ、深く息を吐いて……まるで覚悟を決めたかのように、
「あのね、これは分身の術でも何でもないの。見ての通り、星野は二人いるの。こちらは妹の
と、彼が混乱しないようにと順序追って……なので「少しばかり長い話になるけど、大丈夫かな?」と、確かめるように佐助君に訊いた。
そしてそこで明かされる佐助君のこと。
まあ少なくとも、佐助君は、僕と梨花が双子ということを知らない。僕も佐助君に声を掛けられたのは、ほんの数分前のことだから、僕にとっても面識がなかった。
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