第八六五回 一番星が見える頃には。


 ――しっかりと、お空に輝いている。リュックに荷物、お泊りの準備は完了した。



 そして梨花は、コーディネートする僕を……


 それは内装から始まっていた。身を清めるところからの拘り。下着も梨花りかが選んだ。まるで組立? 喩えるなら、バンプラのように楽しんでいる梨花。僕自身が梨花のバンプラになっているように思える。何よりも浮かぶ笑み……梨花の笑みが、何よりの証拠。


「はい、出来上がり」と、仕上がる僕。

 鏡を見るなり「素材がいいからね、僕と同じだから」と、トンと背中を押したの。


「行ってらっしゃい」


「はい」


 玄関先でのワンシーン。梨花と僕の一コマ。ドアを開けたら、お空は広がる。そこには一番星が元気に輝いている。歩み始める……ここからは一人で。まずはバス停まで。


 黄色のコートが映える、今の僕の格好。


 その中にはセーターと、スカートで、いつもとは違った趣で。因みに色は青と赤。三色がバランスも良く映える。この夜に差し掛かることも併せて、安全面にまでも拘り。


 この後、

 梨花を訪ねてお友達が来るという。それもお泊りで。そのお友達は僕とも共通の。可奈かなではなく、本当に久しぶりな登場だ。その子は日々野ひびのせつという女の子。そして久しぶりなバンプラでの共演だ。店頭での品数が薄かったバンプラも回復傾向にある。つまり、


 戻りつつある。コロナ禍から通常の流れに。世の中の流れが……


 まるで水道のように。これまで少しずつしか流れなかった水が、勢いつけて流れるように。赤錆が流れるも、いずれは綺麗な水に変わる。その時こそが、世の中の安定と、


 僕は思う。世の中のパパたちは、この極度な変化に忙しいけれども、それはきっとコロナ禍になる前からの続きのために、本当にあるべき前進の姿を、現実へ繋げようと。


 変わりゆく社会情勢の中でも、僕らの育む愛は、前向きの一途を辿るのだ。



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