第八二六回 でも、できる限りのこと。


 ――予感は駆ける。去年の、ノートパソコンの時と同じように。



 これを機に、ネットが繋がらなくなる不安が過ったのだ。デスクトップまで繋がらなくなると、ウメチカの……このエッセイの更新が滞ってしまう。居た堪れない心境。


 泣きそうになりながらも、解決法を探る。


 そして電話する。以前もお世話になった、ケーブルテレビの業者さん。僕のお家は、そのケーブルテレビからネットも繋いでいる。その先駆者が梨花りかだったの。


 ……梨花? 梨花はどうやってネットを繋いでいるの? と今更ながら思った。颯爽と飛び出すお部屋。その行く先は梨花のお部屋だ。藁にも縋る思いの果て、


「お姉ちゃん、見せて、梨花のPC」


千佳ちか? どうしたの、そんなに血相を変えて?」……梨花の呼び方がお姉ちゃんになって、言っていることも滅茶苦茶だけれど、モデムがあった。……でも何? ケーブルが繋がっている。LANケーブルが直結? 「ちょっと、僕のPC繋がらなくなって、梨花のはどういう仕組みなの? 何で僕のだけ?」と、もう何が何だかわからなくなって……


 でも梨花は、

 僕の思っていること、言いたいことも察してくれて、


「ごめん。僕にもよくわかんないの。……これだけど、ケーブルテレビの業者さんがやってくれたものだから。実は、パパしかよくわからないんだ。この内容は」


 と、懸命に答えようとしれくれたけど、何一つ解決には至らなかった。梨花もわかってないことだから。僕ら二人して、PCのことは詳しくないの。


 途方に暮れる中で、光が見えた。細くも一筋の光が、梨花の声を通して……


可奈かなならわかるかも。一昨年の詐欺もハッキングによって千佳の仇を討ってくれたほどの腕前だし。きっときっと鬼に金棒だよ」と、早速と可奈に、連絡を取る梨花。


 斯々云々と説明。僕は思う。それだけで解るの? と。いくら可奈でも……と思っていると、お外の雷並みの指示が飛んでくる。梨花と二人、指示通りに動くことに。



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