第七六七回 暗くて丸い天井の夜空。


 ――されども今はまだ、正午も迎えず午前の青色の風。それは疾風とも旋風とも。



 この場所は夜空が広がっている。


 風は、人工的なもの。ならば、このお空も同様に……


 見上げると、お星様。女性の、淡々とするナレーションが眠りを誘う……はずだったけれど、しっかりと見ていた梨花りか。僕はその隣で、その反対側の隣には可奈かながいるの。


 三人とも着席。


 ヒントはここまでだけど、わかるかな? 今僕らが滞在している場所。


 ……

 …………ファイナルアンサー?



 久々なの、この場所。過去に『また来ようね、三人で』と、約束した場所。そしてそしてそして――僕がまだ出会う前の可奈と梨花が、七夕に行こうとしていた場所だったの。


 僕は、そのことを今日この日に知った……


 三年前の七夕。あの雨の日の翌日。予定していたの。可奈が梨花を誘って行きたかった場所。でも喧嘩してできなかった約束。そのことを梨花も初めて知ったの、今日この日。


 三年経ってから、可奈が告げたこと。


 本当の意味で梨花は、あの日の可奈の心を知った。それはまた、僕の心も同じく……


 その場所は、プラネタリウム。今日で、三度訪れたと思われる場所。僕から見て可奈と梨花、きっと素敵なお姉ちゃんたち。お友達と言いながらも、本当は親戚の関係。姉妹と言っても過言ではない関係、これからも続いていく関係、生涯にわたり未来永劫と……


 織姫おりひめ彦星ひこぼしの再会は一年単位。一年ごとに。

 そうであるならこの場をもって来年のこの日も、三人でまたこの場所を訪れるの。


 大人になっても、結婚しても、子供ができても、三人はずっと一緒。仲良し姉妹でいたいの。僕はプラネタリウムの場をお借りして、そう願うの。まるで短冊のようにも。



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