第四三〇回 お家に到着。そして僕らはもう。


 ――家族同然だね。僕のお部屋で、太郎たろう君が僕を待つのも自然となっていた。



 これからは、お勉強も一緒にできるね。……と思いながら、シャワーは汗を流していった。着ていたTシャツや短パンも洗濯機の中で、下着も一緒。なので、一糸まとわぬ姿と言いながらも、シャワーなのだから当然も当然。温泉と同じくらいに当然なこと。


 そう言えば、温泉もこの緊急事態宣言により、臨時休業……


 でも、僕には安全と思えるのだけれど、休業にする理由が解せない。一人一人がマナーを守ったら、全然危険ではないと思うの。――芭蕉ばしょうさんなら、そう言いそうなの。


 そして上がる、浴室を出る。


 通り抜ける風、もう緑の香りに。それに乗せてほんのりと、潤う石鹸の香りも。


「はい、バスタオル」と手渡され、梨花りかはニッコリ「髪、乾かしてあげるね」と、ドライヤーで。そして広がるマイナスイオンのその最中で「着替えも持ってきてあげたからね」と、致せり尽くせりで……「だから千佳ちか、裸でウロウロしちゃダメだよ」と、付け加えもあって、僕は……僕は、僕の裸を何回か、太郎君に見られているだけに、赤面効果……


「はいはい、わかりました」と、下着からお洋服も着て、


「よろしい。じゃあ行け、ガッチマン」と、梨花は送り出してくれたの、浴室から……


 ――風を感じて風を切る。


 お空を飛ぶ心境。小鳥のように駆ける一階から二階へ。そのイメージに合わせて、お洋服のカラーリングも白と青。セーラーのような感じなの。


 ……あっ、そうそう、マリンルックって言うの、このお洋服。……このお家が元は喫茶・海里マリンなだけにね、それに因んだお洋服、因みに半袖の初夏のバージョンなの。


「敬礼!」が、決めポーズとして似合いそうだ。


 それから℮スポーツの僕の3Dキャラも、衣替えによりそうなった。でも今は、まず学生の本文であるお勉強から。……入るのだけれど、太郎君は「お勉強も大切だけど、両立も大切だぞ千佳。受験生だからって二十四時間お勉強ってわけではないだろ」と言った。



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