第三七六回 大将軍と稲妻! どちらも冬だけれど、春の兆し。


 ――再びの予感。窓の外とは懸け離れた世界が、このお部屋に広がる。



 冬の大将軍と冬の稲妻がコラボするお外。……このまま帰ると危ないからって、温かな予兆が、重なる唇から広がる。抱擁にまで転じて、感じるお互いの体温。


「んっ、ん~」


 言葉にならない声、束の間、唇が離れ……



「ちょ、ちょっと、太郎たろう君? 急にどうしたの? いくら僕でも怒るよ? ムードなんかなく強引に。……それ、僕の一番嫌がることだよっ」


「……ごめん。抑えられなかった。千佳ちかが……

 千佳が俺から離れていきそうで、不安なんだ。……やだ、それだけはヤダ……」


 ペチッ……と、手を添える。


「馬鹿、僕のこと信じられないの?

 僕は信じるよ、太郎君のこと。ジャッジメント……僕のためにしてくれたから。そんなことができるの、世界でも太郎君だけだよ。だから世界チャンピオン級の愛なの」


「つまり、You king king’s……てか。

 ホント懐メロ好きだな、またお母さんの影響か?」


 泣き顔の太郎君に、笑みが戻る決定的瞬間。泣いても怒っても、僕らの間にはユーモアが存在するようなの。太郎君は、いつも僕に合わしてくれている。


 そして冬の稲妻とは対照的な、そんな甘い世界感が広がる脳裏。


「じゃあ、君の望むプレゼントは、

 やっぱり僕? リボンで着飾った感じがお好み?」


「お好みもお好み。でも、その中身が好物。

 メインデッシュは、やっぱり千佳。食べちゃいたいくらい可愛い奴」


「……ばか」と言うも照れ隠しも照れ隠し。でも、とても嬉しかった。



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