第三五八回 思えば、今日は土曜日だったの。


 ――従って、学園自体がお休み。登校できたとしても、きっと誰もいない。


 今朝、そのことに気が付いた。でも、お休みなのに風邪……やはりそうだったの。「クシュン」と繰り返されるクシャミ。決して誰かが噂しているわけではないと思うの。


 因みに此処は僕のお部屋で、

 同じベッドの同じお布団の中で、梨花りかと密着して眠っていた。


 ……ということは、


 あの時から一緒だ。お風呂から上がってパジャマに着替えて、そして太郎たろう君が来られて起動するPC。それは僕のもので……ノートではなくデスクトップの方。理由はオンライン面談等ができるから。……えっ? 何故その機能を太郎君が知っている? それは可奈かなが教えてくれたから。と、そう言っていた。


 そして繋がる生徒会の面々。せっちゃんを中心とした市立天王てんのう中学校の生徒会。梨花も一緒にオンラインにより顔合わせとなった。せっちゃんにとっては一石二鳥のお見舞いとなる。……ならば、梨花も今日からは僕らの仲間となる。生徒会という名の仲間に。


 これからのこと、伝えるべく……


 せっちゃんは嬉しさも兼ねてマシンガントーク……だったの。でも、でもね、……その覚えてなくて、気が付いたら、もう今日この時なの。もちろん太郎君もいなくて……そうだよね。それにPCも画面が暗くて、スリープもしてなくて、シャットダウンにしていたのだと思う。……何もかもが、もう終わった後だったの。


 目覚める梨花と、そう一緒に、ガーン! と効果音を脳内で奏でた。ちょうどそんな時だ。スマホがキャッチ、通話を。出る、すぐさま。


 でもそれは、僕のスマホではなく梨花のスマホ。間違えて出てしまった。色も着信も違うのに……『あれ? 千佳ちかちゃん?』と言われて初めて気付く有様。通話の相手、つまりせっちゃんは、僕と梨花の区別がつき始めているようで、僕は「あの、昨日はごめんね」と謝るも、『ううん、私が悪かったの。二人とも具合が悪いのに無理に付き合わせて、本当にごめんなさい』と、せっちゃんの方が謝罪していた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る