第三四二回 すると、突然のコール。


 ――それはスマホから。鳴り響くは『カントリーロード』を、このお部屋いっぱいに。


 満たされたところで、

 僕は出る。お電話に。もう少し聞き惚れていたら切れそうだったから。コールが……



 スマホからスマホ……

 糸電話とは異なり、無線で繋がる。思えば不思議なもので……


 序に記憶も蘇るの。幼少期に糸電話で遊んだこと。誰とだったかな……? 糸繋がりの記憶芽生えそうな時折、声が聞こえる。相手の声が。


 ――梨花りか


「どうしたの?」と、僕は問う。それと同時に僕の表情を窺う可奈かな。そしてそこから始まるアイコンタクト&暗黙の了解。声のない僕と可奈の会話もクロス展開する。



 ――代わる? と、僕は問う。アイコンタクトでまず。


 顔を横に振る可奈。……ただ『色々と情報を聞き出して』と、野球でいうとサインのような合図。多分、太郎たろう君にも理解できないような合図だ。僕ら三人は同じお部屋にいる。


 黄色のカラーリング。それが僕のお部屋だ。


 梨花のお部屋は、プラモデルのコレクション。すべてがバンプラ。そして輝く唯一つの金のトロフィー。察しの通り去年の夏、第一回の『ウメチカ戦・プラモコンクール』で優勝した暁に勝ち取ったもの。自由の女神をモチーフとした勝利の女神が聳え立っている。



 ……そのお電話によって、そのお部屋を訪ねることになると予測する。


 あとは、梨花が助けを求めるかどうかなの。


 今はまだ僕のお部屋。梨花とは対照的に、ぬいぐるみのコレクション。すべてがエブリだ。ハヤオワールド広がる、時折ラパンも。……お話は少々変わるけど、梨花は無事に可奈曰くの『派手派手女』と、待ち合わせに成功したそうだ。でもね……



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