第二九六回 師走の夜、時は来たれり心を決める?


 ――日付変更線。


 或いはシンデレラの魔法が解ける刻だけれど、……解けることはなし。それどころか進化を続ける魔法。魔法は魔法でも『千佳ちかの魔法』……それは、僕の魔法。


 お話は、現場では起きず、書斎で起きている。



 書斎といっても……


 ここは六畳のお部屋。寝室兼ねる僕のお部屋。


 そして今はPCの前。そして僕のお部屋だけれど、僕一人ではないの。


 もう一人いる、僕とよく似た人が……ううん、もはや、

 似ているというその表現を遥かなまでに超え、もはや、瓜二つという。


 それでもって、さっきまで、


 エッセイを綴っていた……のだけれど、うん、綴っている。牛歩のような執筆で、その瓜二つな人とお喋り。きっと会話……それらの表現ではなく、話し合いにも似たり。


 ……梨花りかと、

 この度の『書くと読む』のコンクールについて……


 そうなの。この度で第六回を数えるコンクール。エントリーするかどうかで……言い合いになった。お喋りや会話よりかは少し激しめの、ぶつかり合いで……



 一歩間違えたら、姉妹喧嘩に至りそうな不陰気だから。


 エントリーするにも稚拙な文面……で、「結果は見えてるよ……」と意気消沈。僕だけではなく梨花も。梨花の場合は前回の第五回も挑み、そして僕の初エントリーともなる六月の八万文字のコンクール。いずれも中間選考にも引っかからず敢え無く撃沈。この度は見送ろうかとも……そんな言葉を交わすまでに。……二人が二人とも。


 ……でも、


 でもね、やっぱり挑まないなんて、そんなの何かヤダ……そうも思えるの。



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