第二四六回 到着! 正門潜って、そこで……


 思い出したの。


「あっ」と、声を出しながら……


「どうした?」と、ありふれた台詞の太郎たろう君。



 そんな合間にも拘らず、『ジャッジメント』という、その記憶の糸を追いかける。

 それはそれは、とあるシリーズの、とある某深夜アニメに、その単語は存在した。


 僕は見た、再放送。或いはユーチューブでお目にかかったと思われる。……でも、僕の求める答えはそこではなくて……瑞希みずき先生の最近のお言葉にあった。


 それって……

 それって元々は、太郎君が僕に言った単語だ。


 太郎君もある時、瑞希先生から聞いたと言う。……戦慄を覚える。その単語。ちょうどその時だ。学園の敷地内、正門からはそう遠くない駐車場。そこで響くエンジン音。



 ――駆け出し駆け付け駆け寄る。


 駆け寄ってみると、一台のバイク……駐車している。跨ぐは光沢感のある黒と緑のライダースーツの女性で、ややぽっちゃり体型。バイクは何となくだけれど、昆虫をモチーフにした、そんな感じのものだ。そして、赤いヘルメットを脱ぐ……


 所謂赤ヘル。


 だけれど、本人は黄色と黒のカラーリングが大好きだと思う……あっ、それって、ベースボールの話だ。まあまあまあ、それはさておき、素顔だね、遂に。


 ほらほら、やっぱりね……


「あら、君たちも着てたのね」


 と、赤ヘルの女性が言うから……って、あらゆる角度からのヒント? でもでも、もう誰だか察しが付くよね? 赤ヘルの女性が誰なのか。今日の助っ人だよ。


「瑞希先生、お久しぶりです」とね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る