第二二七回 繋がること。大いなる縁だから。


 ――家系図があったら、あったなら、僕らの繋がりも一目瞭然になる。



 でも、梨花りかは言うの。


「わからなくていいよ」と。「何で?」と、僕は訊く。葉月はづきちゃんのためにも、同じ星野ほしのの姓を名乗る……名乗っていた。または母親の旧姓がそうなのも含め……ここでハッキリさせたいから。それでも「わからない方がいい場合もあるんだよ」と、梨花は言う。断固と自分の意見を曲げないの。梨花の頑固さは、僕が一番よく知っている。



 でも、少し違うのだ。


 まだ続きがあったの、梨花の言いたいことは。


「僕はね、可奈かなと出会えたこと。千佳ちかと出会えたこと。葉月ちゃんと出会えたこと、全部が大切で、かけがえのないこと。今ここにいる確かなことだから……」


 感極まっていたのか、何を言いたかったのか、意味不明。

 だけれども、僕にはわかる。それは心に……ハートに刺さっている。


 きっとみんなそうだ。可奈も葉月ちゃんも、言葉ではなくハートで。



 まずは『書くと読む』で繋がる。


 登録も無事に、バッチリできたと可奈は自画自賛。それでも葉月ちゃんは褒める。可奈のことを。ⅠKイニシャル・ケイ……それが可奈のPNペンネーム。僕らの中で唯一の読専だ。僕と梨花はエッセイ。そして葉月ちゃんはポエム。それぞれのジャンルが出来上がっている。


 それでも僕らは、


 家系図をも関係せずに、大いなる縁をもってここに集っている。それは今生の巡り合わせ……忘れ得ぬ永遠の絆となるのだ。だから今を大切に、同じ時代と同じ時間をともに生きているのだから。これからも書く書く書く書く……読む読む読む読む……それこそがコミュニケーション。とても強固なコミュニケーションだ。



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