第百七十二回 あっ、思い出した!


 ――スパロボ。つまり『スーパーロボット・ミュージアム』というゲーム。



 それは、新一しんいちパパのアバターから。……マ・クローンというロボットアニメに登場する可変戦闘機がオマージュになっているようだ。実はいうとね、先程も先程……観戦に来られている瑞希みずき先生の手を取り梨花りかが、そう伝えてくれた。


 そこでの情報は二種……


 僕はぎゅっと、ソーシャルディスタンスにも拘らずぎゅっと、太郎君の腕に腕を絡ませる。少しでも傍らにと、体温もその情報も共有したくて、会場の中心から少し外れたベンチで聞くこととなった。


 MYチームとして、瑞希先生は新一パパのアバターと戦った。その時の新一パパのアバターは、もちろん今の可変戦闘機ではなく、動きの速い仮面の貴公子だった。


 そして梨花……バンプラが大好き。その影響は、やはり新一パパにあった。ロボットアニメ大好きな人なのだ。同じように梨花も、バンプラだけではなく、その可変戦闘機のプラモデルを作ったことがあるのだ。それはそれは僕も今まで知らなかった話……新一パパと一緒に作ったプラモデル、初めて作ったプラモデルが、まさにそれなのだ。


 ――思い出のプラモデル。


 可変もする優れもの……だからこそ、特性も知っている。


 つまり梨花は、そっと教えてくれた。それも単刀直入に、単純も単純に、そして明快なまでに、新一パパのアバターの弱点を。



「いつものように、楽しくね」

 と、瑞希先生のお言葉を抱いて僕ら四人、再び会場へ。


 そして今、すると今……


 決勝戦なだけに、先刻までの激戦を映し出していた大画面はCM……このウメチカ戦で使われているゲームソフトの宣伝を、何と、このハーフタイムで放映されているのだ。



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