第五十一回 初めての姉妹喧嘩。……そして!
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そんなお互いの声が響き合う四畳半の部屋。――お母さんがいくら取り繕っても、僕らはもう「フン!」で、僕は梨花の顔を、きっと梨花も僕の顔を見ようとしなかった。
「……帰る!」
と、その一言を残し、梨花はいなくなった。
思えば、初めての喧嘩。
あんなに怒った梨花の顔を見たことって……
――あった! それは去年の夏、僕が手首を切って死のうとした時だ。
まるで鏡を見ているかのように、ソックリさん……それなのに、僕より痛い顔で、僕よりも泣き顔で、僕を思いっ切り引っ叩いた。その頃はお互い双子だってことは知らなかったし、ソックリすぎて気持ち悪いとも思っていた。……僕は、出会う前の梨花の十三年間を知らないけど、何故だか、とても近い存在に思えていた。
でも、僕にはゲームしか……
それしか梨花に「すごい」と言ってもらえるものがない。……逆に梨花は、僕にできないことが、いっぱいできる。演劇部では脚本からの主人公、それもいきなり舞台……梨花がいなかったら、僕も舞台に立てなかった。それから梨花の特技といえばプラモデル。コンテストに応募できるほどの腕前だ。もうすぐ賞も頂けそうな感じで……
(梨花、最近プラモデルしてるのかな?
もしかして、僕とゲームするために、する時間がないのかな?)――って、何で梨花ばかりのことを、僕は考えているのだろう? 今はゲーム、℮スポーツ! それしかないのだから。その思いで再び起動! ゲーム機を。「お母さん、ゲームやるよ!」と、僕は声をかけるのだけど、何故か……お母さんは「クスッ」と、笑っていた。
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