第九章 その章を奏でるは『運命』の調べ。

第四十三回 ……ごめんね、もう少しだけど、


 ――休校は続くの。前々日より中高、そして学年別で始業式だけを済ませた。



 僕の担任の先生は、どのお方なのか?

 僕のクラスメイトになる生徒達とは?


 それから僕が……何年何組なのかを知るために。


 これまでとは違って、……ううん、これからだからこそ、今日の僅か三十分ほどの滞在だけれども、僕らにとっては『重要な学校の時間』……かけがえのない時間だ。



 ゴールデンウィーク明けを待ち望むトキメキ。その日こそが、新学期の始まりになるのだ。昔は……以前は、学校に行くのが嫌だった僕が、僕の傍らにいる二人と一緒に、学校に行けることが、トキメキを覚えるほどに楽しみになるなんて……本当に、本当に、こんなに嬉しいことないよ。――と、いつの間にか、その思いの渦中にいて、


千佳ちか、どうしたの?」と、可奈かなが。


「お腹でも痛いの?」と、梨花りかが、心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。


 で、ハッとして、


「大丈夫、何でもないから」と、僕は慌てて、いつの間にか零れている涙を拭いた。


 ……最近はよく、

 このように泣くことが多くなった。


 でもきっと、


 涙を見せて、人は強く優しくなれるのだと、そう思えるようになった。



 今はもう下校の刻、


 僕らはリターンする電車に乗り、最寄りの駅で下車をする。それぞれのお家には帰るのだけれど、ちょっとその前に可奈と梨花は、僕のお家に寄るというのだ。


 僕の部屋の輝くPS4・5ゲームマシーンを見るために。そして三人仲良く、お茶の時間ティータイムへと。



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