神とババア

@dukekikurage

同い年の神様とおばあちゃんがいたら?

さっちゃんコッペパンあるよ。

専門店のやつだって


なんだ、専門店って


コッペパンの専門店、これはお砂糖のやつ。きな粉とあんバターもあるけど?


普通の


ハイハイ、お砂糖ね


美味しいね



懐かしいね。二人でパン食べるの


しょっちゅう食っとるわ


さっちゃん覚えてる?あそこの不味い人参パン


思い出したくもないよ


だよねー。パンの中に人参が入ってるだけなのに恐ろしく不味くてさ。塩も砂糖もないから食えたもんじゃなくてさ


胃が空っぽでも舌が拒否したよ


ねー。でもお金もったいないから二人で泣きながら食べたよね。


ん。


美味しくなったね、食べ物。


ん。


良かったね。あんな不味いものが残らなくて


今あれを出すやつがいたら、ひっぱたいてやる


だよねー。その時はあたしも呼んでね。


自分でいかんかい。年寄りにさせるな。


あはは。同い年の癖にー。


見た目はともかく中身はババアじゃ。


仮にも神様だぞー。無礼はゆるさぬのじゃ。


なんだい今さら。この程度で罰当たりなら家は七代先まで呪われとる。


あはは


……


変わらないよ。あの頃と何も。


お前は中身も見た目もガキのまま


さっちゃんは見た目がババアで中身は乙女


何が乙女じゃ。こちとらカラッカラの干物じゃ


太郎くんに振られたーって。


何十年前の話をしとるんじゃ。


ふふっ。


ふんっ。


あたし忘れないよ。あんたがいなくなっても。


忘れとけ。簡単に死ぬ奴らを覚えてる事ほど無駄なことはない


無駄じゃなかった。昔も今も楽しいよ。間違いなくあんたとその子供たちのおかげ。


ふんっ。


あんたがいなくなっても、子供がいなくなっても、孫がいなくなっても覚えといてやるから


馬鹿な女じゃ。だからガキだと言うておる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神とババア @dukekikurage

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る