秘密

僕は知っている




勉学は嫌いではない。


むしろ、努め励んだ時間に比例して結果が確実なものとして現れるのは、とても気持ちが良かった。


しかしこの狭い教室には、その快感を知らない野猿が十数といる。

座学をする機会なんて社会に出れば存在しないに等しいのだから、今しかこの快感を味わうことができないのに。

とても勿体無い。



しかし、「学生の本分は勉学である」と当然の務めを掲げて叱る教師は、頭を黄に染めた雌猿よりも滑稽だ。

嫌いなトマトを理屈で押さえ込んで食べれるようになったら苦労はしない。

し、それは本当に「食べれる」ようになったわけではない。



まあそれでも、自己満足だけで教員を務めている人間はこちらとしても扱いやすい。


ただ勉学という快感を得ているだけで勝手に内申が上がっていく。


きっと社会というのもこういうものなのだろう。

魚が頭から腐っていくのは、組織の上部にはこういう扱いやすい人間しか置かないから。



賢い人間ほど、目立たず生きていくものだ。





僕はそんなことを考えながら、阿保な教師と敬語を知らない猿を横目に、弁当箱の蓋を閉じた。



昼休みが終わるまでまだ30分はある。


僕は席を立ち、いつものように図書館へ向かった。



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