第49話

夢のあと


 その訃報は唐突だった。

 王が…私と女の島(くに)の王が、事故で逝った。

 王の乗る空飛ぶ箱が落ちた…。

 操っていたのは、男の手になるところの技師(もの)。

 形作られた新たな秩序は、あっけなく綻び始める。

 男の力の前に身を潜めていた、かの島の高貴な者たちは、一斉に男を糾弾する。

 島を統べる王なる者を手にかけた…と。

 男は、たちどころに求心力を失う。

 蘇った技術(テクノロジー)はあっという間に…風化する。


無情に時は流れる。

 天かける銀色の槍は、三つ子の太陽の影に沈む。

 王の夢は、その肉体とともに霧散する。


 男は、島を去る。

 男に与えられたのは、小さなキャビンのある原動機付きボート…

 皮肉にも自らの手で蘇らせた古(いにしえ)の技術…その賜物。

 男は、退避壕(シェルター)から連れ帰った少年を伴い、何処へか海原に漕ぎ出していく。


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