第49話
夢のあと
その訃報は唐突だった。
王が…私と女の島(くに)の王が、事故で逝った。
王の乗る空飛ぶ箱が落ちた…。
操っていたのは、男の手になるところの技師(もの)。
形作られた新たな秩序は、あっけなく綻び始める。
男の力の前に身を潜めていた、かの島の高貴な者たちは、一斉に男を糾弾する。
島を統べる王なる者を手にかけた…と。
男は、たちどころに求心力を失う。
蘇った技術(テクノロジー)はあっという間に…風化する。
無情に時は流れる。
天かける銀色の槍は、三つ子の太陽の影に沈む。
王の夢は、その肉体とともに霧散する。
男は、島を去る。
男に与えられたのは、小さなキャビンのある原動機付きボート…
皮肉にも自らの手で蘇らせた古(いにしえ)の技術…その賜物。
男は、退避壕(シェルター)から連れ帰った少年を伴い、何処へか海原に漕ぎ出していく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます