エッセイ集。弐
あくまで私自身の価値観や頭の中で考えてる事ですので、多めに見ていただけると有難い限りです。
3…月との面談
今日は一段と寒いがその分月が綺麗に見えていた。
いつもより厚めの防寒着を来て僕はベランダで月を見ていた。昔から何か嫌なことがある度に母親から「月を見ると元気が出てくる」と言われすっかり何かある度に月を見にきてしまう癖がついてしまっていたのだ。
改めて考えてみるとそんなことだけで解決するわけもないのにと馬鹿らしく思う気持ちもある。だが、どうもこの夜空に浮かぶ月にすがってしまう…昔から人には頼りたくない(頼れない)僕はこの夜空を心の掃き溜めとして使っていた。何もかもがウザったい時、悲しいことばっかりで立ち直れない時、月に向かってぶつくさと文句を放つ。
とてもくだらない事なのに彼はよく何も言わずに聞いてくれていると思う。
そして、結局こんなことをしている自分自身が馬鹿らしくなって笑えてきてしまう。
ある意味月の思惑通りなのかもしれない。
僕は最後に一言月に言葉を漏らした…
「おやすみなさい…また聞いてね。」
4…2月13日。
何となく毎年バレンタイン用に生チョコを作っていたし、今年も暇だし作成意欲がでてきたから生チョコを作ることした。
毎年やっている工程、チョコを刻んで湯煎をし溶かす、生クリームと乳化をさせて、型に入れてしっかり冷やす。
もうレシピなんかを見なくたって出来るようになっている…少なくともそこら辺の人なんかが作るものより美味しいと自信を持って言えるだろう。
毎年バレンタインには生チョコをタッパーに入れて持って行き、それほどの仲を持っている人に食べてもらう。美味しいと一言言ってもらうだけで、十分やり切ったな…という優越感に浸ることが出来ていた。
そして、毎年しっかりと梱包をして綺麗に飾りをつけて渡す人がいた。その人が笑顔で貰っていく姿を見る度に私は良かったと微笑んでいた事だろう。
だが、今年はもう明確にあげる相手なんかは居ない。
別に落ち込んでいるわけなんかでは無い…
そう思いながら冷やし固めた生チョコを味見のためにひとつ食べてみる。
「…いつもより少しだけ味が違う」と寒いキッチンで呟いた。
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