情景描写のヒント――取材をする

 小説を書き始めた頃に悩むものの一つとして、情景描写があります。

 私もいまだに苦手で、なんとか工夫して書いていますが、同じような描写になることが少なくありません。

 小説を数多く読んでいろんな描写方法を学ぶという方法もありますが、どういったタイミングで使えばいいかが分からなくなりますし、そのままコピーしたのでは工夫がありません。

 どうすれば情景描写がうまく書けるようになるでしょうか。


【体験をしてみることが一番】

 小説を書く上で一番のインプットになるのは「経験」です。

 自分が経験したことは言葉にしやすいですし、書くときにイメージしやすくなります。

 ただ、いつどんな時にどんな情景描写が必要になるか分かりません。

 もちろん、知っている情報のみで書くという方法もありますが、それだと視野が狭くなってしまいます。


【どんな情景があるかを細分化してみる】

 情景描写、といってもいろんな場面があります。まずは「どういう状況がありえるか」を細分化してみましょう。

《時間で細分化》

・早朝

・朝

・昼

・夕方

・夜

・深夜

《天候で細分化》

・晴れ

・曇り

・雨

・雪

・夕立

・星空

・台風

・あられ、ひょう

《場所で細分化》

・海

・山

・川

・住宅地

・道路

・店内

・飲食店

・家

・橋

・山道

・学校

・屋上

・仕事場

《季節で細分化》

・春

・梅雨

・夏

・秋

・冬

《イベントで細分化》

・クリスマス

・正月

・バレンタインデー

・夏休み

・冬休み

・運動会

・文化祭

・キャンプ

・旅行


【写真を撮りにいく】

 情景描写を書くための体験をするには、その場所に足を運ぶのが一番です。

 雨の日だと難しいかもしれませんが、一度体験しておくことで、思い出しながら書くことができます。

 できればいろんな天気の時に足を運ぶと良いと思います。

 例えば「雨の日の朝の山」は雨の日しか行けませんから、そういった時を狙って外に出てみましょう。

 また、写真を撮っておくのも忘れないようにしましょう。どんな状態だったか忘れても、写真を見れば思い出すことができます。


【風景を検索する】

 今ではわざわざ足を運ばずとも、画像検索でいろんな風景を探すことができます。

 雨の日の道路、雪の日の海、いろんな検索ワードを駆使して、書きたい描写の風景を探してみましょう。

 ただ、体験していないと写真から読み取る能力が必要になります。体験していれば、例えば外の気温や匂い、音を感じることができますが、写真だけだと画像の情報しかありません。描写するには、その写真からどういう五感の刺激を受けるかを想像する必要があります。

 逆に言えば、写真からどんなことを想像できるかを文章化する練習をすることで、体験したことがない情景描写を書く練習にもなります。


【感じたことをそのまま書く】

 情景描写というと、難しい比喩を使うなど、なにかとテクニックが必要だと思いがちです。ただ、そんなことはなく、感じたままを書くことも立派な情景描写と言えます。

 自分が感じたことは自分にしか書けません。それも一つのオリジナリティと言えるでしょう。


 想像力だけでは限界がある情景描写。たまには書くのを止めて、外に散歩に出かけてみてはどうでしょうか。

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