何人称で書きますか?

 小説を書く上で意識したいのが、「何人称で書くのか」と言うことです。

 いろんな小説を読んでいると、地の文をナレーターが読んでいるような書き方だったり、誰かが話しているような書き方だったり、いろんな書き方があることに気が付くと思います。これは、「語り手が誰なのか」によって「一人称」「二人称」「三人称」の書き方に区分されます。

 簡単に言えば、映像を撮影しているカメラがあって、その状況を話している人がいるとします。そのカメラが「どういう状況で撮影しているのか」と「誰が話しているのか」によって分けられています。

 また、「三人称」にはさらに細かい分類があります。


【一人称視点】

・登場人物の一人の視点に立ち、その登場人物が見たこと、考えたこと、感じたことを地の文とする方法。

・その登場人物の気持ちを表現できるため、共感性が高くなる。一方、その人物が知らない情報については「伝聞(他の人から聞いた)」という形でしか書くことができない。

 カメラのたとえで言うと、カメラマンが自分で撮影しながら実況している、という感じです。


【二人称視点】

・語り手が「あなた」、つまり読者の視点によるもの。かなり特殊なので難しい。地の文では「あなたは○○をした」というような形をとることが多い。

・具体的には手紙を読んだり演説を聞いたりしているような形になる。

 このタイプは読んだことがないのでたとえが難しいですが、カメラマンの行動を他の人が解説しているような形になると思います。


【三人称視点】

・語り手が登場人物や読者以外によるもの。この書き方の中でもさらに以下のように分類できる。


①三人称一人視点

・語り手が第三者ながらも、登場人物のうちのある一人にスポットをあてた書き方。

・その人物の心理描写などができるため、一人称視点に近い。

 カメラの例で言うと、誰か一人にスポットを当てて撮影しながら、ナレーターがその人にインタビューをしている、といった感じでしょうか。


②三人称全体視点(カメラ視点)

・ある場面を俯瞰的にとらえて説明する方法。

・誰にスポットを当てるわけでもなく、全体の状況を描くことができる。一方、一人一人の心理描写を描くことは出来ない。

 カメラの例で言うと、上から全体の状況を見ながらナレーターが客観的に解説をしている、といった感じでしょうか。


③神の視点

・まるで神が見ているかのように、あらゆる角度からとらえて話を進める方法。

・なんでもあり。心情描写も自由自在。その代わり、きちんと整理しなければ状況がつかみにくい。


 他にも特殊な例などがあるかもしれませんが、大まかにはこの5つに分かれると思います。

 それぞれメリット、デメリットがあり、ジャンルによっても有効だったり合わなかったりするので、使い分けた方が良いでしょう。

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