情報量のコントロール

 ここでは「最初は書きたいことをどんどん書いていこう」「まずは続けていくことが重要」と言っています。とはいえ、書いて投稿する以上は読んでほしいと思っていることでしょう。そうなると、やはり読まれるための文章の書き方を学んでいかなければなりません。

 一番の勉強は、売れている作品を読むことです。何故売れているのか、何故読みやすいのか、どういう構成になっているのか……研究してみるのが一番でしょう。


 さて、ネット小説を読ませていただいているのですが、その中で気が付いたことがいくつかあります。

 その一つに、「最初から情報量が多すぎる」ことが挙げられます。

 自分の考えた設定を、全部書きたいという気持ちは分かりますし、頭の中で描いている話を最初から最後まで書きたいという思いも分かります。しかし、読んでいる方からすると、最初から情報量が多いと頭が混乱してしまいます。

 よくある例とすれば、

・時代背景や設定、キャラクターの紹介を、最初からずらずらと書いてしまう

・朝起きてから準備して、朝食を取って……というところからすべて書いてしまう

・大して話が進んでいないキャラクターの深堀を、必要もないのにしてしまう

・なかなか「どういう話なのか」というものが出てこない

 といったことが挙げられます。

 最初からこういった内容だと、

・どういう話か分からない(分かりにくい)

・文字数のわりに話が進まない

 ため、ブラウザバックの原因になりやすいです。

 もちろん、前述のようなやり方でも面白く書く人はいますが、なれていない人は次のようなことを試してみると良いと思います。


■できるだけ設定を出すのは必要最小限にとどめる

 最初から設定をずらずら並べるのではなく、必要な設定を小出しにしていく方が効果的でしょう。

 すぐに使わないような世界観の説明であったり、能力の説明であったりを最初から書いていると、読者は忘れてしまいがちです。できるだけすぐに使うものの設定を出すだけにとどめた方が良いでしょう。

 ただし、のちの伏線になるものや、今説明しておかないと後々困るものもあるので、そういったものは最初から書いておく必要があります。


■キャラクターの説明は自然に

 その登場人物がどういう人なのか、その説明は物語の流れにそって入れた方が良いでしょう。

 セリフが続いているのに突然キャラクターの説明が入ると、話の流れを切ってしまうことになります。時間の経過などを意識すると、どこで説明を入れるべきか分かるのではないかと思います。


■必要な場面のみを書く

 書き始めた頃は、とにかく「必要な場面」を絞って書くと良いと思います。つまり、物語に必要な部分だけ書いていくのです。

 もちろんそれだけだと淡々と話が進んでいくだけになりますので、後から日常を描いたり、息抜きの場面を入れたりするのは良いと思いますが、最初から「朝起きたところから書こう」とすると、なかなか話が進まなくなってしまいます。


■「どういう話か」はなるべく早く提示する

 話の展開にもよりますが、読者に「これはこういう話だ」というコンセプトは早めに出した方が良いと思います。

 特にネット小説だと、あまり序盤が長くなりすぎると、どういう話か分からずに「面白くない」と判断されがちです。「こういう話だ」という提示が早い方が、読者も安心するのではないかと思います。

 もちろん、コンセプトによっては「こういう話だ」ということが提示できない場合もあります。


 なかなか話が進まない物語は飽きがちになります。最初はスムーズな展開を目指し、「早すぎるかな」と思ったら息抜きの話や情景描写を入れる、とすると良いのではないかと思います。

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