第29話 長期連休の予定
長期連休が近づいていた。マユリは朝から晩までとことん勉強する予定だが、ミカはそれを許さない。いや、絶対に許すつもりはなかった。確かに勉強は大事だ。しかし、健康的な女子高生がそれでいいのか。
否!!
しっかりと青春を謳歌しないともったいない。きっと将来後悔することになるだろう。あの時もっと遊んでおけばよかったと。マユリに高校生活の思い出をいっぱい作ってもらいたいのだ。
そしていざ、自分がマユリのお嫁さんになったとき、その思い出を語り合いたい。
乱れた後、マユリの・・・腕の中で・・・
「ぐへへっ。」
自室のベッドの上で、またしても下衆な笑いをするミカ。マユリの為と練った計画だったが、どうやら自分の欲望の方に傾いてしまったらしい。
いい湯加減ですね。先輩。
あれ?どうしたんですかぁ。
そんなに顔赤くしちゃってぇ。
もっと隅々まで身体見せてくださいよぉ🖤
マユリと一緒にお風呂に入っているところを想像しているらしい。口からはヨダレがだだ漏れている。
もう夜も8時を回っていることもあり、お風呂に入る前だったからだろう。散々痴女マユリを妄想して、色々とベトベトになった身体をキレイに洗い流そうと、座っていた椅子から立ち上がるミカ。
連休の予定はたてた。後はマユリ先輩を誘うだけだ。
ミカは予定表を作っていた。おそらく、普通に誘ってもマユリは乗ってこないだろう。だから、ミカは自分の家に招くことにしたのだ。もちろん、警戒されることはわかっている。なので、勉強会と称することにした。更にはマユリだけでなく、不本意だがハルカも誘う。そうすれば、グッとこの計画の達成率が上がるはずだからだ。
予定表
9:00 集合
9:30 勉強
10:00 おしゃべり
12:00 昼食
13:00 勉強
15:00 おやつタイム
17:00 勉強
18:00 夕食
19:00 お風呂
21:00 女子会
23:00 勉強
24:00 就寝
6:00 起床・お風呂
7:00 朝食
8:00 お散歩
9:00 勉強
10:00~ みんなで遊園地
16:00 解散
明らかに遊びメインの予定表だが、作った本人は何の違和感も感じていないらしい。明日の放課後渡すつもりだが、今からわくわくが止まらない。多分、様々な妄想をしてしまい、風呂場で悶えまくってしまうだろう。
翌日 放課後
マユリを昇降口で待ち構えるミカ。手には例の予定表が握られていた。
「でさ、ヒビキが言うにはね・・・」
「あははっ。何それ?」
きた!
マユリとハルカがキャピキャピ話しながら、ミカの方へ歩いてきている。慎重にその時を待つ。そして姿が見えるや否や・・・
「マユリ先輩!今度の連休、一緒にお泊まり勉強会しませんか?もちろんハルカ先輩も一緒に!」
二人の前に飛び出し、大声で誘うミカ。あまりにも突然のことすぎて、キョトンとするマユリとハルカ。
何いってんの?この子・・・
しかし、時間が経つにつれ、やっと理解してきたマユリは両腕をクロスさせ、胸を隠す。
「・・・やらしいことするつもりでしょ?」
ドキッ!
何故かドキドキしてしまうミカだが、今回のこの計画は清純なものだった。もちろん、やましいことを考えなかったわけではない。いや、最初はそのことメインで考えていたのだが止めたのだ。好きな人を初めて自分の部屋にあげるという一大イベントで、失敗をしたくない。なので、ミカはマユリをしっかりもてなすつもりだった。
「そんなことしません。あ、あの時マユリ先輩の胸を揉んだのは不可抗力じゃないですか。」
何が不可抗力なのか。明らかに敢えて揉んでいたと思うのだが・・・
ハルカはギョッとしていた。そんなの初耳だったからだ。しかしそれを聞いて、以前のマユリの奇行にやっと合点がいった。やはりミカが影響していたのだ。
まったく・・・ミカちゃんは本当に困った子だな。
別に悪い子ではないのだが、親友を悪い方向へ引っ張っていってしまうのではないかと心配になってしまう。
「どうですか?やっぱり・・・駄目ですか?」
切な気な顔で、不安そうに聞くミカ。断られることを恐れているのだ。そんな少女を見て、即答で断れるはずもない。
「ちなみに、もう計画とかたててるの?」
マユリは優しく聞いた。お泊まり勉強会自体はいいと思う。しかしその内容が問題なのだ。
「はい!これが予定表です。」
ミカは持っている紙を一部ずつマユリとハルカに渡す。どれどれと二人は目を通した。ミカはドキドキしている。二人とも真剣に、自分の作った予定表を見ているからだ。きっと何かダメ出しがあるだろうと覚悟をしていたのだが・・・
「いいんじゃない?ねぇ、マユリ。あたしも一緒に行くからどう?」
ハルカがミカに乗っかってくれたのだ。まさかの展開。逆にハルカに邪魔されると思っていたミカ。この時ばかりはハルカが女神様に見えてしまう。
ありがとうございますぅ~
だがハルカとしては、ミカのためというよりはマユリの為に言った台詞だったのだ。きっと何かこういうイベントを設けなければ、マユリはずっと勉強勉強で連休を終えてしまうだろう。ミカではないが、ハルカもまた、マユリに高校生らしい思い出を作ってもらいたかった。この遊び時間が多い予定表を見る限り、それが可能だと感じたのだ。
「そうだね。でも一回持ち帰っていい?親に相談しなきゃいけないから。」
ハルカの一声で、マユリも乗り気になったらしい。
「はい、勿論です。いい返事お待ちしてます。」
やったー!
この感じだと、例え反対されてもキチンと親を説得してくれるだろう。
今から連休が来るのが待ちきれなくなってしまうミカ。心の中で小さなミカ達が小躍りをし始める。
「ありがとね。ミカちゃん。」
「ん?何か言いました?ハルカ先輩。」
小声で言った為、テンションが上がっているミカの耳には届かなかったようだ。
ハルカはミカに感謝していた。羨ましいくらいストレートに自分の思いを伝えられるミカのお陰で、新しい思いでの一ページをマユリと一緒に綴ることが出来るのだから・・・
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