第15話 銭湯で・・・
脱衣場で鼻唄を歌いながら、ハルカは服を脱いでいた。とってもご機嫌の様子。何故なら、広いお風呂がある、銭湯に来ていたからだ。お風呂好きのハルカ。下着を手早く脱ぎ、いよいよ生まれたままの姿になった。艶のある肌が、とてもまぶしい。
今日は雨だったため、身体が冷えている。早くお風呂に入りたい。ハルカは少し足早に浴室へ入っていった。そして・・・
ステーーン!
転んでしまったハルカ。
「いててて・・・」
お尻を強打し、苦痛で顔を歪める。浴室は足元が滑る場合があるので、十分気を付けましょう。
客も少なく、誰にも転んだところを見られていないと思っていたハルカだったが・・・
「大丈夫?・・・あれ、ハルカさんじゃない。」
浴槽に入っていた女性に見られていた。しかもこの女性は学校の職員だった。
「こ、こんばんはサキ先生。恥ずかしいところ見られちゃいましたね。」
ハルカはてへっと舌を出し、おどけて見せる。いつもはサバサバした性格のハルカだが、年上の女性の前では子供っぽくなってしまうのだ。
「いや、見せてる最中よ。・・・足を閉じなさい。」
ハッ!
ハルカは自分が股を開き、恥ずかしい部分をサキに見せていることにやっと気が付いた。慌てて足を閉じ、その場で正座するハルカ。顔は熟れたトマトのように真っ赤だった。
「・・・すみませんでした。以後気を付けます。」
気を付けてください!
同姓とはいえ、やはりあそこをマジマシと見られるのはとても恥ずかしいことだ。少しの間、ハルカはサキと目を合わせることが出来なかった。
とはいえ、早く浴槽に浸かりたいハルカ。身体を丁寧に洗った後、サキとちょっと距離をとって浴槽に入る。
はぁ、いい湯だな🖤
先程の羞恥心も薄れるようだった。少し余裕が出来たハルカは、チラリとサキに目を向ける。豊満な胸が浮力で浮いていた。
うわぁ、いいなぁ。あたしもあれくらいになればなぁ・・・
物欲しそうにサキのバストを見続けるハルカ。でも、そう言うハルカもサキ程ではないが、胸が大きかったりする。
視線に気付いたサキは、立ち上がり、ハルカの側まで行く。思わず見構えてしまったハルカ。
「お尻、大丈夫?私が見てあげようか?」
サキは心配で声をかけに来てくれたのだ。ちょっとヒリヒリするが、問題はない。それよりも・・・目の前に立つサキの、一糸纏わぬ身体が気になってしょうがない。
豊満な胸と、しっかりくびれているウエスト。下半身もきちんと手入れされていて、足の付け根から伸びる太ももは、女のハルカでもドキッとしてしまう程の色気がある。
何故サキはわざわざハルカの眼前で、裸体を披露したのか。それはおそらく、ハルカだけ恥ずかしい思いをさせてしまった為、気を使ってくれたのだろう。
そのままサキはハルカの隣に座る。
「いいお風呂ね。ハルカさんはよくここに来るの?」
話を振るサキ。
「いえ、そんなに来ませんね。確か・・・去年の暮れマユリと一緒に来た時からだから・・・」
「マユリさんと来たの!?」
敏感にマユリの名前に反応するサキ。大きい声が浴室内に響き渡る。
「え、ええ。まあそうですね。マユリ、勉強ばっかりだったら。少し息抜き出来ればと思ってあたしが誘ったんです。」
別にハルカとしては、友達を誘って銭湯に来ただけの話なのだが、サキはとても羨ましく思っていた。
マユリさんと裸の付き合い・・・私も誘おうかしら・・・
サキにはこの時、二つの思惑があった。一つは単純にマユリの裸体を拝みたいという欲望だ。そしてもう一つは・・・ちゃんとマユリの裸体を見ることにより、この子は女の子なんだと、同姓なんだと再認識し、自分に暗示をかけ、胸のモヤモヤを晴らすことだ。そうすればこの恋心を消火できるような気がしたのだ。
ハルカさんの恥ずかしいところを見ても何とも思わなかったし、マユリさんだって、ちゃんと女子として認識できればきっと・・・
そこ後、ハルカとサキは最近の学校での出来事を話し合った。
数分後
「わぁ、広いねぇ。お姉ちゃん。」
新たな客が入ってきた。どうやら姉妹らしい。
「そうだね。去年の年末以来だな。あっ、走っちゃダメだよ。」
姉は特に感動もなく、妹の心配をしている。そしてそのままその声達は、洗い場の方へ向かった。その途中・・・
あれ?ハルカ?
浴槽に浸かり、肩から上しか見えない後ろ姿でも、親友のことはすぐわかる。
「やあ、ハルカも来てたんだね。」
声のした方に顔を向けるハルカ。
「え?どうしたの?この時間帯は勉強してるはずなのに珍しいね。妹ちゃんと一緒なんだ。弟くんは?」
彼女の家族構成がわかっているハルカは、シスコンな長男のことも知っていた。
「あの子は男湯に行ってるよ。いやね、母さんがお風呂入った後、家の給湯器が壊れちゃって。明日には直るんだけど、冷たいお風呂に入るのは流石に辛いから、三人で来たんだ。」
ざっくりとした説明を聞くハルカ。サキはただ黙ってそれを聞いていた。学校の同級生の誰かにでも会ったのだろうとタカを括っていたのだ。まあ間違いではないのだが。しかし、そうであればサキの生徒でもある。一応顔を見てみようと、その生徒に顔を向けた。湯煙でよく見えないがとてもスタイルが良い子だということはわかる。
「あっ、ごめん。ちょっと行くね。」
そう言うと、少女は妹のところへ向かう。未だ彼女が誰なのか気付かないサキ。取り敢えず、軽くハルカに聞いてみることにした。
「今の子、私達の学校の子?」
キョトンとするハルカ。
あれ?わからなかったのかな?
「何言ってるんですか先生。あたしの親友、マユリですよ。」
!!!
まさか、今の子が?
図らずも、もう願いが叶ったサキ。キョロキョロと周りを見渡す。・・・いた!マユリは妹の頭を洗ってあげていた。
ちょっと遠いわ・・・
出来れば間近でマユリを見たいサキ。しかし、ここでジタバタするのはみっともない。黙ってその時を待つことにした。
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