第11話 類友
店内は賑わっていた。放課後ということもあるのだろう。客のほとんどが学生だ。ミカとほむらはレジへ向かう。
「お姉さん、このセットください。」
かわいい声が店内に響くと、みんなその聞こえてきた方向に目を向ける。そこに立つのは二人の美少女。男客達は色めき立ち、女客達もその愛くるしい容姿に、思わずキュンとしてしまう。
ほむらもセットメニューを頼む。実はほむら、ジャンクフードが好きだった。もちろん味が好きということもあるのだが、それよりもポテトやバーガーを可愛らしく食べている自分が大好きなのだ。
トレーを持ちながら店内を見渡す二人。慌てて視線を逸らす他の客達。席はほぼ埋まっていたが、窓際に二人で向かい合って座れるテーブル席が1つだけ空いていた。急いでその席を確保するミカとほむら。この美少女二人がどんな話をするのか、周りの客達は聞き耳をたてる。ざわめきたっていた店内は、BGMとミカ、ほむらの声しか聞こえない程静まりかえっていた。
ここからは少しの間、ミカとほむら、そして店内の他の客達の心の声でご覧ください。
ミカ「実はね、この前の土曜日、先輩これと同じもの食べてたんだ。」
男客)ん?誰の話を始めるんだ?
女客)恋話かな。どんな先輩なんだろ。
ほむら「えっ、何でミカミカがそんなこと知ってるの?まさか・・・ストーカー?」
男客)こんな可愛い子にストーカーされるなんて、どんなイケメンだよ。
女客)ストーカーはダメよ。犯罪じゃん。
ミカ「そんなんじゃないよ。一緒に食べたから知ってるの。」
男客)なんだ、デートだったんだ。でもいいなぁ、その男が羨ましいなぁ。
女客)そうだよね。普通に考えたら、こんな可愛い子だもん。誘われたら男は断らないでしょ。
ほむら「何でなんで?同じ学校だからって、何で先輩とデートできるのよ。弱味でも握って、脅したんじゃないわよね!もしそうなら許さないよ!」
女客)うわぁ、可愛い顔してやることがえげつないわね。
男客)そんなことしなくても、俺ならいつでも君とデートしてあげるのに。
ミカ「違うって。あたしが愛しい人にそんなことするわけないじゃない。ちゃんと誘ったの。まぁ、三人だったから、二人っきりのデートって訳じゃなかったけど。」
女客)女、女、男?それとも女、男、男?
男客)是非俺も混ぜてもらいたいよ。
ほむら「なんだ。じゃあ許してあげる。でもいいなぁ。ほむほむも先輩とお茶した~い。」
男客)俺も君達とお茶した~い。
女客)どんな男なの?モテモテじゃない。一回見てみたいわ。
・・・・・・
女客男客)ほむほむ?
ミカ「実はねぇ、それだけじゃないんだぁ。三人で駅近のデパートに行ったんだけど、そこで先輩、あたしが選んだ下着買ってくれたの。」
女客)へぇ~、結構脈ありなんじゃない?
男客)男の下着、興味なし!
ほむら「・・・一応聞いとくけど、どんな下着?」
女客)男用ならトランクスとかブリーフじゃないの?まあ柄は色々あるだろうけど。
男客)だから興味ないって。そんなことより、もっと君たちのことが知りたいよ。
ミカ「え~とね、こういうやつでぇ。ここがこうなってて、ここが開くの。」
男客)おいおい、凄いなそれ。でも男がそんなの着るのか?
男客)こと細かくやるジェスチャーが可愛すぎる。あっ、ヤバイ・・・鼻血が・・・
女客)なにそれ。男がそんなの着てたら、ただの変態じゃない。っていうか、それ下着の意味あるの?・・・!ほむほむって子、だらだら鼻血出してるじゃん。
ほむら「そ、それはいいね。ほむほむもそれ着た先輩が見たいな。」
女客男客)見たいんかい!
ミカ「でしょ~。で、それ着た先輩の姿を携帯電話の待ち受けにしたいよね。」
ほむら「わかるわかる!」
女客男客)わかるんかい!
・・・・・・
女客男客)類は友を呼ぶ・・・か。
その後も、二人はマユリのことも含め、お互いの近況を話した。相変わらず、皆が聞き耳をたてているせいか、ミカとほむらの声しか店内には聞こえない。BGMも止めたらしい。
・・・・・・
一時間程経った頃。おしゃべりに夢中だった二人は、外がもう薄暗くなっていることに気がついた。さすがにもう帰らないといけないかなと思ったその時、窓の外に愛しい人の姿をミカは目にとらえた。
「あっ、先輩だ!ほむらちゃん、ちょっと待ってて。先輩呼んでくるから!」
!!
慌てて外に飛び出すミカ。
ちょっと待って。心の準備が・・・
突然であった為、大好きな人に会える喜びと緊張が重なりあって、頭がうまく回らないほむら。店内もざわつき始める。
女客)わぁ~、どんな男が来るの?見たい見たい~!
男客)はっ、どうせイケメンがくるんだろ?まあでも、一応見てやるか。
様々な感情が店内に渦巻く。
間もなくして、ミカはマユリを連れて再び入店するのであった。
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